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遠恋カレンダー
【女性向け 官能小説】

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8月:花火-6


「俺たちも撮って」
葵の肩を抱いて青木が私に携帯を返してきた。
「じゃぁ撮るよ?」
何枚か撮った後、そのままの流れてで
「じゃぁ、俺も」
と、秋田さんが私の横に立つ。
なんの不自然さもなく、私と秋田さんを青木がパシャっと1枚撮った。

「それ、俺の携帯に送って」

そう笑うと、あっという間に終わった花火に
まだ仕事が残っているという秋田さんと青木はそのまま部署に帰って
私と葵は着替えて帰ることにした。

洋服に着替えるために寄った会議室で
さっき青木に撮ってもらった写真を見返していると
「小川君に送ってあげるの?」
花火の興奮でにぎやかに話す女子の会話にかき消されそうなほど小さい声で葵が聞いてくる。
「・・・うん」
「そっか。これ見て会いたくなってしまえ!」
わざとふざけて言う葵に
「・・・うん」
そんな風にしか、答えられなかった。


ジンジンと熱い手はほんの数秒間だけ秋田さんの手のひらに包まれていたからで。

それが嫌じゃないと感じてしまった私はきっと小川君を裏切ってる。

自己嫌悪の塊のまま、最寄り駅から家に帰る途中、メールが届いた。

「あっ・・・・!!!」

それは、私の休暇に合わせたドイツまでのeチケットのPDFが添付されてて

「俺はドイツを離れられないから。ほのかさんが来てくれたらうれしい」

そう一行コメントがあった――――

私は、寂しさと、恥ずかしさと、情けなさと・・・
説明できない色々な気持ちで
泣きながらその場にしゃがみこんだ―――


8月の花:ひまわり
花言葉:あなただけをみつめる





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