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暗がりで蠢くもの
【ホラー 官能小説】

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暗がりで蠢くもの-3





 そこで私が見たものとは……。
 誰もいない、空っぽの試着室でした。当然、人が隠れるような場所などどこにもありません。狐に摘ままれるとはこのことでしょう。
 悪い夢でも見ているのだろうかと首をかしげていると、またしても色っぽいすすり泣きのような声がしました。
 うっ……、はん……、ああん……。
 声は、試着室の裏側の辺りから聞こえました。カーテンを開け放ったままそちら側に回り込んだ私は納得しました。二つの試着室が背中合わせで並んでおり、そこから声が漏れていたのです。しかも、白いサンダルが揃えて置かれていたので、今度こそ当たりだと確信した私は淫らな光景を思い浮かべながらカーテンを開けました。
「えっ?」
 まるで妖艶な舞台が幕を開けるように、それは私の目を一瞬で釘付けにさせました。汗を吸った長い髪を乳房にまで垂らした全裸の美女が、縄で縛られた状態で椅子にくくりつけられていたのです。
 局部に挿入された玩具が妖しく回転するたびに、彼女の体内からは糸を引く液が溢れ出し、うんうんと熱に浮かされたような表情でまつ毛の下の瞳をあらぬ方向に泳がせていました。
「あん……、いや……、あ……、はあん……」
 美女は三十歳前後の主婦にも見えるし、十六歳くらいの女子高校生にも見えました。適度に熟れた肉体に卑猥な花を咲かせ、その敏感な部分をもてあそぶのに必死で自分を見失っているのか、にんまりと口を歪めて股間を押さえる私の存在に気づく素振りもありません。
「浜崎桜子さん、ですね?」
 私がその名を口にすると、彼女の熱い眼差しが一瞬だけこちらに向けられました。ほかでもない、詰め所で預かっているバッグの落とし主の名前がそれです。
「まさか、誰かに連れ込まれて乱暴されたわけじゃないですよね。これ全部あなたが自分でやったことなんでしょ。どうなんです?」
 この質問に対する彼女の反応は予想通りのものでした。緊縛される悦びに支配されながらも小さな顎を縦に振ったのです。
「困るんですよねえ、こんな真夜中に店の中に入ってこられると」
「ごめん……な……さい……、あ……、あ……、あはん……」
 甘えた声で反省の言葉をささやかれると私の股間はいよいよ限界を迎えます。現役の頃よりはいささか精力が衰えたものの、ズボンを下ろした途端に跳ね上がる竿は目の前の獲物を欲して鋭く尖っています。
「ほんとうなら警察に通報するところですがね、私の言う通りにしてくれるのなら今回だけは目をつむります」
 それはつまり、淫らな行為をするための契約でした。下半身を露出した私は勃起した肉棒を彼女に見せびらかし、縄の食い込んだ乳房や太ももの美しさに興奮しながらその肉体に舌を這わせました。
「ああん……」
 感度の増した女体が大きく伸び上がり、汗と愛液が吹き出していやらしい匂いを放ちます。挑発的な色気、そして男を狂わせる美貌が警備員である私の理性を闇に葬り、本能の赴くままに彼女のことを辱しめました。


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