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「親友の妻」
【熟女/人妻 官能小説】

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@親友の死-1

人の命はなんてはかないものだろうか。
恵美さんが泣きながら電話してきたのは一か月前だ。
「大杉君あの人今日会社で急に倒れたの。」
「聞いているよ。腰痛だってね。容体はどうなの。今から見舞いにいく積りだ。」
「それが違うの。胃がん・・・・・・・・・」
あとは泣くばかりで会話にならない。
大急ぎで妻の麻沙美と一緒に松田邸を訪ねた。
恵美さんを慰めるには麻沙美が一番だと思ったからだ。
やっと聞き出した内容に驚いた。
末期の胃がんそれもスキレス性で余命三か月だそうだ。
「それで松田には言ったのか?」
「そんなこと私にはとても言えないわ。悪性のぎっくり腰だと言ってあるの。」
「松田は頭のいい男だ。恵美さんの態度から何かを感じているはずだ。」
「そうなの。夫の前では平然としているつもりだけどぎこちないと思うわ。」
「僕だってそうだ。幼い頃から兄弟同然に付き合ってきたから隠し通せないよ。
今日の見舞いは取りやめるよ。」
翌日再び恵美さんを訪ねた。
この日はお父さんの松田社長とお母さんも来ていた。
「大杉、久しぶりだな。久志はもう駄目かもしれんな。」
小学生のころから松田家に入り浸り食事をよばれる事は度々だった。
泊って帰る事も多く僕の専用布団まで用意してくれていたほどだ。
それだけに僕は身内の扱いで今でも「大杉」って呼び捨てにされる。
「お父さん松田の性格を考えたらがんは告知してやるべきだと思います。」
「うん俺もそう思う。そうしてくれないと見舞いにも行けないよ。
俺が見舞いに行ったら重症だって感づかれるもんな。」
「それじゃ僕から話します。松田も僕の前では取り乱したりしないと思いますので。」
松田も自分が重症なのはうすうす感づいていた。
「しかしそんなに悪いのか。余命三か月じゃ助からんな。」
彼に甘い見通しを話しても無駄なのは分かっている。
「いいじゃないか。お前は40年で人の一生分の経験をしてきたはずだ。
僕と違ってお前がいなくなっても家族が困ることもないだろう。
お前が40年かかって築き上げてきたものは見事なものだ。」
「そうだな。大杉と二人でいたずらに明け暮れた学生時代が懐かしいよ。」
その日は恵美さんが付き添い深夜まで話し込んだようだ。
翌朝から昏睡状態に入りそのまま目を覚ますことなく静かに息を引き取ったのだ。


泣きじゃくっていた恵美さんに義父は言った。
「恵美。今後はお前が子供を育てなければならない。強くなるのだ。
深窓の令嬢を卒業するのだ。今後はわしの会社の秘書課にカムバックさせる。
だからお前が喪主を務めるのだ。俺は施主として全面バックアップするから見事やり遂げるのだ。
泣いている場合じゃないぞ。」
そして
葬儀は無事終わった。
「恵美、よくやった。参列した社員みんながお前を認めたことだろう。」
そして恵美さんはその数か月後、取締役秘書室長として松田建設に迎えられることになる。


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