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真夜中に呼び止める声
【痴漢/痴女 官能小説】

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通い慣れた道で-3

『忘れるな。ズリネタは目や耳で感じるものではない。心で感じるのだ。心を開けば目や耳から入るものに惑わされることはない……』

遠い昔に薫陶を受けた、オナニー道の大先生の教えだった。

「心を、開く……」

俺は目を閉じ、たった今見た玉乃さんのイメージを脳裏から遠ざけ、際どいところで精子の噴出を抑え込んだ。

「よ、用蔵さん……?」
「だ、大丈夫です……心配要りません……」

壁にすがりながら立とうとする俺を、玉乃さんは不安そうに見ていた。彼女の首から下がまた一瞬目に入るが、もう射精しそうにはならなかった。さすがに勃起はしていた。

「本当に大丈夫なんですか? かなり苦しそうですけど……」
「も、問題ありません……」
「でも……」

玉乃さんはしばらくの間、心配そうな表情で俺の肩を支えていた。俺が前かがみの状態で立ち上がると、ようやく離れていく。

「あの……本当にこんな時間にすみませんでした。これからいろいろお世話になると思いますので、よろしくお願いしますね」

ぺこりと頭を下げる玉乃さん。

「い、いえ……こちらこそよろしくお願いします。それに……今この時間に来ていただいてよかったです……」

そこまで言ったとき、俺の目にあるものが飛び込んで来た。
玉乃さんの左胸に“愛”、下腹部に“女”。大きな赤い文字のタトゥーだ。今まで目に入っていなかったが、気を落ち着けたせいで見えるようになった。一晩寝て忘れかけていた、昨夜の記憶がよみがえる。

(玉乃さんが、あの露出狂の痴女……!?)

どうする? 夕べのことを話すべきか。だが、玉乃さんの方は俺に気付いていないらしい。そうなると、初対面でいきなり「夕べ露出狂してましたよね?」とはさすがに聞きにくかった。
かと言って、こうやって隣人になった以上、見て見ぬ振りもできかねた。例え女性であっても、露出狂は何かの犯罪に当たるはずだ。逮捕される前に辞めさせてやりたい。

(遠回しに言ってみるか……)

「あの……越して来たばかりの方にこんなことを言うのは何なんですが……」

俺は玉乃さんの顔を見上げて言った。彼女は怪訝そうな表情になる。

「どうしたんですか……?」
「夜出歩くときは、気を付けた方がいいです」
「えっ?」
「ここのところ出るらしいんですよ。痴漢が」
「痴漢?」
「ええ。露出狂だそうです。何度か通報があったそうで……」
「露出狂っていうと、コートとかで前を隠して、いきなりバッと開いてオチンチンを見せるあれですか?」
「え、ええ、まあ……」

コートを開く仕草をする玉乃さんに、俺はあいまいに頷いた。実際にはこの近くで男の痴漢など、見たことも聞いたこともなかったが。
玉乃さんは、また頭をぺこりと下げた。

「ご忠告いただいて、ありがとうございます。私も女子大から帰るのが遅くなる日もあるので、気を付けますね」

体を倒した拍子にオッパイがバルンと揺れ、危うく乳首が飛び出しそうになった。俺は慌てて目を反らす。

「そ、そうですね……できるだけ夜は出歩かない方が……」
「お出かけ前にお邪魔してすみませんでした。また何かありましたらお邪魔しますね」

玉乃さんはくるりと背を向け、帰って行った。短パンの後ろは完全な細いTバックで、大きな尻の肉が全部見えていた。
あの回りくどい言い方で、痴女なのがバレていると伝わるだろうか。俺は不安を覚えながら、彼女のムチムチした尻を見送った。


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