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俺は他人棒
【熟女/人妻 官能小説】

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不破乃里子(32)-2

「金払えばヤラせてくれるらしいよ」

 派遣仲間の織田という男は、下卑た笑い混じりにそう言った。
 乃里子の噂をしていて、俺が「一発お願いしたい」と漏らしたのへすかさず反応してだった。
「ちょっと、それ誰情報ですか?」
「マッつぁんと次郎さんが経験済みって話してた」
「織田さんはヤッてないんスか?」
「俺はそういう冒険しないことにしてんだよ。マッつぁんはホラ吹きなとこあるけど、次郎さんまで言ってるってなると信憑性あるだろ?」
 いずれも設営仕事でよく顔を合わせる渡り職人たちだ。
「マジかぁ。ヤベえ、聞いてるだけで勃ってきた。いくらでヤレるんスかね」
「次郎さんは三万出したとか言ってたかな。まあ乃里子さん、主婦の身であんだけガツガツ派遣の仕事取ってるとこ見ると、相当金に困ってんじゃねえか。自分の身体売っても稼ぎたいのと違うか?」
 確かに、俺が設営仕事に入ると、大抵そこには乃里子も参加している。
 おそらく俺の受けていない現場にも乃里子は入っているのだろう。普通の人妻が小遣い稼ぎしたがっているのとはレベルが違う。
 ひょっとして、借金まみれとか。
 俺はそんな読みを本人にぶつけてみることにした。

 短い髪を引っつめて後ろで束ねているため、綺麗な卵型の輪郭が際立つ乃里子である。
 野外の現場も多いせいか、よく日に焼けて小麦色の肌が爽やかだ。
 出っ歯というほどではないが、やや前歯がせり出し気味で、ハムスターのような愛嬌を感じる顔立ち。その愛くるしい顔を俺は正面からまじまじ見つめた。

 現場が終わったタイミング。
 喫煙所にぞろぞろ溜まって談笑している仲間たちを尻目に、俺は帰り支度の乃里子を捕捉した。
「乃里子さん、飲みに行こ!」
「えー? 亮介くんと二人で?」
「そう! ちょっと問い詰めたいことがあって」
「何それ。恐いんだけどぉ」
「仕事の後、用事でもあるの?」
「別にないけど……ちなみにそれって、亮介くんのおごり?」
「当たり前でしょ。ついでにアッシーになってもいいよ。乃里子さんのチャリなら、俺の車に積み込めるから」
「うっそー、最高。じゃあお願いしよっ!」
 貪欲に仕事を取り、かなり稼いでいるであろう乃里子。
 しかし飲み代は一銭も払わないぞとばかり強い意思が眼に燃えており、やはり金銭的な問題を抱えていると思しき匂いを感じさせた。
 そして飲み屋で向かい合う場面へと至った訳である。


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