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未亡人と悪徳医師・真夜中の診察
【鬼畜 官能小説】

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未亡人に迫る毒牙-1

「あれからもう一年ですか。お焼香に伺おうと思っていたんですが、なかなか時間が取れなくて・・・」
 温良そうな表情を浮かべるその男は善行良夫(ぜんこう よしお)。善行医院の院長だが、そんな名前が皮肉なほどの悪徳医師だ。おまけにヤブ医者ときている。
 親の代には込み合っていたこの病院も、今では訪れる人もまばらだ。そんな訳で、使用人は先代から仕える年配の看護師だけだ。気だるげなその女は、院長の不正を知っても咎めることもない。それどころか積極的にレセプトの改ざんを行っている。
 盗撮や痴漢行為も見て見ぬ振りをしている。相場以上の給与を支払っているので、それが口止め料というわけだ。

 そして男の目の前の丸椅子に座り、長い睫毛を伏せてうなだれている女は山本雪乃、34歳。知的で清楚な美貌だが、どこか陰りを帯びた顔立ちだ。それもそのはず雪乃の夫の直之は、一年前にこの美しい妻を残して急逝してしまった。マンションの非常階段から飛び降りたのだった。遺書はなかったが、警察の調べでは事業に失敗し、健康問題にも不安をいだいて発作的に自殺を図ったとみていた。
 だが善行は知っていた。決して自殺ではないことを・・・。心療内科をも診察項目に掲げるこの医師に、直之はこう話していた。
『先生、私は事業に失敗し借金だらけです。でもこのままでは終わりませんよ。必ず復活してみせます。そして結婚式をあげるんです。家内にウエディングドレスを着せてあげたいんです』
 少年のように夢を語る男が、一週間後に自殺などするもんか。当時十数種類もの薬を処方していた。抗インフルエンザ薬や向精神薬もあった。それらの副作用によって中枢神経を抑制し、異常行動死を引き起こしたと思っている。
 だが、善行にとってそんな事はたいした問題ではない。今は溜まりに溜まったツケを少しでも回収すること、それが無理ならこの若く美しい未亡人の身体を頂くこと、眼中にはそれしかない。最も重きは後者だったが・・・。

「今日お呼び立てしたのは・・・分かってますよね?」
スカート越しでも分かる肉感的な太腿に、分厚い請求書の束を投げた。その額は300万円を超えている。もちろん大幅に水増しされたものだ。
「は、はい、申し訳ありません」
 艶やかな黒髪をアップに結い、白いうなじをのぞかせて青ざめている雪乃に、男が追い討ちをかけた。
「病院経営も楽じゃないんだ。私にご主人のようにマンションから飛び降りろというのかね」
先程までの物柔らかな態度は影を潜め、明らかに強圧的だ。
「本当に申し訳ございません。今就職活動中ですので、もう少し待っていただけないでしょうか・・・」
困惑した表情が、男の嗜虐心を煽り立てた。
「待って待ってってもう一年も待ってるんだっ」
善行が声を荒げた。
「・・・すみません・・・どうかもう少し・・・」
相変わらず身を固くして、視線は落としている。その声が震え、今にも泣きだしそうだ。
「私にも家族がいるんですよ。スタッフに給料も払わなくてはいけない。苦しいのはあなただけではないんだ」
未亡人の熟れた肢体に舐めるような視線を這わせながら、男が言った。

 今日の雪乃は白いニットにグレーのフレアスカート。良家のお嬢様を彷彿させる清楚な装いだが、そこはやはり34歳の大人の女だ。小柄な雪乃には不釣り合いなぐらいな胸のふくらみ、キュッと締まった腰のくびれ、スカートからのぞくふくらはぎは、適度な肉付きで、何とも悩ましい。子供を産んでいないためか、ミルクを溶かし込んだような肌は十代の乙女のように張りがある。そのどれもが中年医師を興奮させるには十分だ。

「何かあてはあるのかね」
「い、いえ・・・」
 親の反対を押し切って女子大卒業と同時に結婚した雪乃にとって、頼る両親はいない。夫の生命保険金は借金の清算ですべて消えた。おまけにこの歳まで会社勤めの経験はない。夫の直之が専業主婦を望んでいたからだ。



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