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砂漠の薔薇
【女性向け 官能小説】

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-4


「あいつは飲んでもそんなに酔わないし。
昔から勉強も出来る。だから仕事も出来るんだろう。
なんだかオエライ部署にいるんだろう?」
経管です、ね。

「いつも冷静沈着。人の陰口や悪口を言わない代わりに人と必要以上に親しくもならない」
あの人がぁ〜?
ずいぶん馴れ馴れしくポンポン言ってきましたけどね?
「だから。珍しくて」
「・・・・」

「お客さんの話に普段は口を挟まないんだけど、昨日はキミをいじめたり興奮したり
慌てたりする阿部が楽しくてつい話を聞いちゃった」
「・・・・」

「そして、同じく常連さんにキミと安部の話をしてしまった。気を悪くしたらごめんね」
くすくす笑っている2人を見たら
客の話を他の人に言うなんて!と怒る気は失せて

「じゃぁ、マスターも1杯奢ってくださいね」
とウインクした。

「じゃぁ、俺も奢らなきゃ」
先客もそう言って笑った。

「で?昨日阿部に啖呵を切っていた愛してる男は今日はいいの?」
そう言われて、ほんの少し忘れていたこーちゃんを思い出した。

「愛は・・・独りよがりだったみたいです」
「え?」
「昨日。あの後別れ話を言われました」
「・・・・」
「同棲してるんですけど。もうじきマンションの更新時期で。
更新はしないと言われちゃった」
「そうか」

そこまで言って涙が出た。

カタンと小さい音がして先客が席を立った。



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