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人形たちの話
【教師 官能小説】

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全ての岐路-1

 教師と生徒としての恋愛は、長くは続かなかった。
 “あいつら”の存在が、常にあったから。
 僕はどうでもよくなってた。でもどうでもよかったのは、僕だけだったんだ。



「がっ」
 お腹に衝撃を受け、僕は倒れこむ。放課後に校舎裏へ呼ばれて、これ以上お金がないと言ったら蹴られた。ただそれだけの話だ。
 先生と付き合ってから、こんな奴らのことはもうどうでもよくなってた。怪我は回復するし、僕を愛してると言ってくれる先生がいる。それで充分だった。
 ただお金と利き腕をやられるのだけは困る。今も利き腕を踏まれて動けなくなってた。
「ちっ、しけてんな」
「親から盗んで来いよてめえ」
「か、は」
 痛みに呻くふりをして返答を無視した。その若干の反抗心がわかってしまったのか、
「ぐは!?」
 ぐり、と利き腕をねじり踏まれ、さらに腹にもう一発蹴りを食らう。吐きそうになるけど実際に吐いて服を汚したら先生が心配する――僕のちゃちな嘘なんてすぐ見破る先生だけど、それでも吐かないといけない嘘はある。
 あいつら――古谷達が去っていった。
 ふう、と一息ついて痛みが治まるのを待ってから立ち上がる。
「深町君」
「……先生」
 あまり見られたい姿じゃないのに、今日は見られてしまった。事情を知らない生徒が先生を呼びに行ってくれたんだろう。
「……すみません」
「謝らないで。……お金も盗られてるの?」
「…………」
「そう」
「あと一年の辛抱だから……」
 先生と付き合いだしてから、半年。
 いじめの状況は、変わっていなかった。



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