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人形たちの話
【教師 官能小説】

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人形が人間だったころの話。-7


 ――昔の夢を見ていた。
 まだ私が辛うじて教師だったころの、今とはまったく別種の幸せな時間。
「〜〜〜〜」
 深町君はいない。買い物に出かけると言っていた。
 その間、私はボールギャグという器具を口にはめられ、強制的に口を開けさせられている。後ろ手には手錠で身動きが取れない。それ以外は一切身に着けていなかった。
 指名手配を受けてから、私は戸籍をホームレスから買って、安いマンションを遠くで買った。それだけのお金はあった。
 人を殺して。何人も何人も殺して。
(深町君)
 深町君が、帰ってきてくれた。
「ただいま、先生」
 器具を口に嵌めている状態だからうまく笑えなかったけど、深町君には伝わっている。
「ん、んん」
「ごめん、外すね」
 ボールギャグを外す。丁寧に、傷つかないように。
「ぷは」
「水飲む?」
「ううん……私が飲みたいのは、深町君」
 諦めの目で、深町君はカッターを取り出し、アームカットをする。
 溢れだす血を、舌を使って器用に掬って飲む。
「……ほう……」
 美味しい。それ以上に、砂漠で彷徨った喉の渇きが癒されるような、快楽を通り越した安心感がある。
「ああ……深町君」
 この拘束は、それをさせないためにある。

「深町君を殺したい」

 何度目かわからない発言に、深町君はあの透徹とした目でこちらを見透かすように視てくる。
 唇についた血を舐めとる。やっぱり深町君の味は、特別だった。
 殺人に快楽を覚えてから数か月。
 私の破滅が近いのは、わかり切っていた。



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