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液浸
【SM 官能小説】

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液浸-8

水の中でゆらめくカヅエの肉体は、彼を弄ぶように絡んでくる。蛸のように揺らぐ乳房の先
端の乳首は吸盤のように、太腿はなめらかな鱗に覆われた魚のように、繊毛は透明な藻草の
ように、彼の肉体のあらゆる部分を餌にする。地上で抱きあうより水に沈められて密着する
ことの方が、ふたりの身体の密度を濃くしているのは間違いなかった。

冴えすぎた彼の意識の底にカヅエの肉体は深く絡んできた。顔を沈めた水の中に淡い月光が
頭上から降り注いでくる。身体にまとわりつく薄い被膜のような水によって、ふたりは互い
の体を引き合いながら水中でゆらゆらと浮遊していた。肌の細胞の一つ一つがさらさらとし
た水に閉ざされ、肉体は研ぎ澄まされた。

彼女の白髪が液体の中で美しい水母のように揺らぎ、彼の頬を優しく撫でると、互いの腕が
伸び、絡みつく水に導かれるように抱きあい、唇が重なった。舌が触れあい、唇は生きもの
のように戯れ始める。プールの水はふたりの体をひたひたと封じ込め、カヅエのゆらりと伸
びた腕が彼を抱きしめると肌と肌が擦れ合い、互いの乳首が喘ぎ、溺れるようにまさぐりあ
う。水は身体の隅々に流れ込んでくる。沸々とした水泡が含んだ光の残滓が、水の中に波紋
を描いたとき、彼の手が水をかき分け、カヅエの太腿にゆらりと這う。

掌が彼女の片方の膝の裏側をゆるやかに抱きあげると、互いの下腹部が吸いつくように密着
する。彼の堅くなったものに、カヅエの疎らな陰毛が絡みついてくる。形を感じない陰唇は
溶けた肉片となって彼の亀頭の先で穿たれる。萎びた乳房がふるりと揺れ、肩甲骨が強ばり、
彼女の身体がわずかにのけ反る。彼が腰を強くカヅエの下半身に押しつけると、細みの身体
が伸びあがる。ぬるぬると湿った淫唇が貝肉のように彼のものに巻きつく。ペニスの先端を
カヅエの空洞がまさぐり、開き始めた陰唇が渦を巻いた水とともに彼のものを吸い込む。

繋がったふたりの性器は呼吸を始め、まるで解き放たれた微笑を湛えたひとつの肉塊となり、
密度を濃くし、深海の底の軟体生物のように収斂(しゅうれん)と弛緩(しかん)を始めた。
月灯りに点滅するような光の白い気泡が立ちのぼり、密着した互いの肉の狭間をくすぐるよ
うに戯れる。彼の腰が小刻みに上下し、カヅエの下半身を突き上げると、膨張したペニスは
彼女の洞窟を埋め尽くす。奥へ……奥へと伸びあがる彼のものは、カヅエの中を這い上がり、
昇りつめようとする。そのとき彼女の襞から幾本もの肉糸が触手となって生えあがり、ペニ
スに執拗に絡まり、肉幹を搾りあげる。

カヅエの微かな喘ぎ声が水の中で木霊する。やがて彼のペニスをすっぽりと包んだ肉びらが
急速に閉じられ、肉幹が千切れるほど締めつけられたとき、彼はまるでカヅエに精液を吸い
尽くされるように射精したのだった……。




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