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液浸
【SM 官能小説】

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液浸-11

カヅエの瞳の奥が、蕩けるように潤み、繁みに覆われた淫部の下で彼の呼吸が荒くなったと
き、彼は自分の咽喉の奥に血流を感じ、彼女の中から微かに湿ってくる汁をまさぐるように
舌がひとりでに蠢いていた。彼の口元から涎が糸を引くように流れ、カヅエの陰毛をぐっし
ょりと濡らす。舌先が、ぬめった淫唇を引っ掻くように撫であげながらひくつくとき、カヅ
エは陰部をヤスオの顔に強く擦りつけた……。

彼はカヅエの微かな陰毛の匂いを嗅ぎ取りながら、弛んだ割れ目を唇でなぞっていく。割れ
目の入り口が、蕩けるように湿り始めている。幾重にも重なった色褪せた花びらが、彼の疼
きを冴々としたものに芽生えさせていく。

舌先が少しずつ割れ目の奥をまさぐり、舌と肉襞が絡み合う。滑らかな舌の動きは、やがて
彼女の敏感な部分へ徐々に刺激を与え、わずかな蜜液を染みださせている。膣口に差し入れ
た彼の舌は熟れすぎた果実の放恣に酔い始める。

…あっ…ああっ…半分ほど開いたカヅエの唇から、震えるような嗚咽が洩れる。彼女は背中
をのけ反らせながら、彼の頬を腿でゆるやかに締めつける。彼女の性器全体が少しずつ烈し
い息づきを取り戻していた。浮き上がったカヅエの腰を抱え込むように彼は顔を彼女の股間
に埋めたまま、襞の粘膜を烈しく舌で愛撫し、襞の深みから愛液を誘い出そうとした。

彼がカヅエから啜ったわずかな蜜汁の香りが口の中でもがくように蠢き、甘いワインのよう
な匂いとなり、微かな蒼味を帯びて咽喉を潤し、やがて蕩けるような熱を含みながら彼の身
体の中に吸い込まれていく……。



別荘の前で、ふたりを車に迎えたのは黒い服に包まれた無骨な身体をした角刈りの男だった。
帰国されていたのを存じ上げなくて申し訳ございませんと無表情に丁寧な言葉を吐くと、男
はカヅエの背後に立つ彼の方をちらりと覗き、淫靡で不可解な笑みを浮かべた。

あなたに見せたいものがあるわ……とカヅエが彼に言うと、男はふたりを車に乗せ、舗装が
なされていない山道を奥へ奥へと走らせた。

すべての準備は整っておりますと運転していた男はカヅエに小さく囁いた。その意味が彼に
は理解できなかったが、カヅエは小さく頷いた。

車が停車した場所は沈鬱な森に囲まれた十字架の石碑が並ぶ墓地だった。カヅエと彼は男に
導かれるように墓石のあいだを歩いていく。やがて蔦で覆われた小さな納骨堂にたどりつく。

深い森の奥にこんな場所があるとは思わなかった。重厚な石で造られた納骨堂の壁は苔むし、
十字架が刻まれた鉄の扉は赤黒く錆ついていた。男は扉の南京錠を外すとふたりを中へ導き、
手にした燭台に火を灯した。カヅエと彼は言葉を交わすことなく、男が手にした灯火を追う
ように地下へ続く細い石床の階段を降りていく。

ふたたび男が厚い鉄の扉を開くと、そこは遺体の安置所のような広さをもった密室だった。
壁の蝋燭に火が灯されると部屋が浮き上がるように見えてくる。男はカヅエに扉の外で待っ
ていることを告げると音もなく扉の外に出て行った。


その場で見えてきたものに彼はぎょっとして目を凝らす。掘り込まれた石壁の窪みに置かれ
た円筒形のガラスの水槽。それはまるで巨大な標本瓶だった。充たされた液体の中には全裸
の男が浸されていた。死んでいるのに、まるで生きているような顔つき、そして肢体は手足
をだらりと垂れて液体の中にふわりと浮き、下半身の性器も、冴え冴えとした肉塊として息
づいていた。幼虫のような蒼白いペニスは萎縮し、睾丸はゆらゆらと浮遊していた。


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