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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-9

「はー…疲れた…」

海菜がホテルのロビーのソファーに座り、机に突っ伏した。

「何かお飲み物をご用意いたしましょうか?」

星野くんは、まだ役が抜けないらしい。

「温かいお茶…」

「かしこまりました」

近くの自販機へと走っていく星野くん。騎士というよりは、執事だ。調子狂うなぁーと福田くんが溜息を吐いた。

「…いつもならすぐ戻るんだけど…ちょっと心配かけすぎたかな」

「なんか戻す方法ないわけ?」

「んー…そうだなぁ…びっくりさせるとか」

「役が抜けなくなるってたまに聞くけど、本当に抜けないものなんだね…海菜ちゃんも抜けない時ある?」

「私はあんまり無いな…」

「王子はなんか、スッて役に入って終わったらスッて抜けるイメージあるわ」

「ああ、確かに私はそんな感じかも。役と私は別人って意識があるからかな…」

星野くんがカモミールティーを持って戻ってきた。

「ありがとう望。お金は返すよ」

「いえ、大丈夫ですよこれくらい。それより、寒く無いですか?」

着ていたブレザーを脱ぎ、海菜の肩にそっとかけた。海菜は動じることなく、ペットボトルに口をつけた。一部始終を見ていた同級生がざわついている。

「相変わらずラブラブだな…2人とも…付き合ってないのが信じられないよ…」

「…月島さん…私が一方的にお慕い申し上げているだけですよ」

話しかけて来た女子生徒に対して、星野くんは少し寂しそうに返す。
彼女は同じクラスの月島さん。海菜達と同じ演劇部の子だ。今日泊まるホテルの部屋も彼女と一緒だ。

「お慕い…って。もしかして、役に入り込んでる?」

「そうなんだよ…すぐ抜けると思ったんだけどなぁ…」

「水ぶっかけてみるか?」

「いやあ…流石にそれは…」

「んー…じゃあ…」

パァンッと月島さんが星野くんの目の前で手を叩いた。彼の身体がビクンッと跳ねた。大きな音がホテルのロビーに響き渡った。

「…びっくりした…急になんだ?」

「…どう?戻った?」

「月島さんか…。戻った?何の話だ?」

星野くんが首をかしげる。役に入り込んでいたことには気付いていないようだ。

「大丈夫か?星くん、記憶はある?」

「ああ…そうか…悪い…入り込んでたみたいだな…」

「星野くん、憑依型だからなぁ…。あ、そうそう小桜さん、ホテルの鍵、貰った?」

「えぇ。先に行く?」

「おう、ちょっと荷物だけ置きに行ってくる」

ホテルの鍵を月島さんに渡す。去っていく月島さんと私を交互に見ながら、いいなぁと海菜が小さく呟いた。

「ユリエル、王子の部屋行かねーの?」

「…行きません」

「一緒の部屋の子、風邪で休んじゃったかから私1人なんだ。おいでよ百合香」

「絶対に!行きませんから!1人で寝て!」

「えー寂しいー」

唇を尖らせる海菜。私が彼女の部屋に行けば、2人きりになれる。観覧車での出来事がフラッシュバックする。慌てて脳裏に浮かんだ映像をかき消した。


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