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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-29

「…なんだか不思議ね、安西くんと帰るなんて」

同じクラスになってからずっと、苦手だった。関わりたくないと思っていたはずなのに、その彼と今、通学路を歩いている。

「…俺も、女子と帰ることなんてないから…ねぇ、女子同士って普段どんな会話してるの?恋バナとかする?」

「そうね…恋の話は結構…皆好きね。貴方も?」

恥ずかしそうにこくりと頷いた。こちらから話題を振ってみる。

「安西くんはどんな人がタイプなのかしら」

「え!…えぇ…それ聞く…?」

「恋バナ、したいんでしょう?」

「…その…大人の男性…かな…ご、合田先生…みたいな。う、うわ、はっず…誰かにこんなこと話す日が来るとは思わなかった…」

本当の彼はかなり乙女なようだ。なんだか、彼が可愛く見える。大柄で強そうな見た目とのギャップのせいもあるかもしれない。

「合田先生なぁ…良い人だよね。既婚者だけど」

「私も素敵だと思う。…既婚者だけど」

「う…か、片想いくらい…許してくれよ。しょ、しょうがないだろ…好きになっちゃったんだから。元々叶うものだとも思ってないし…伝える気もない。… 2人は…聞くまでもないか」

「…私は正直、最初は苦手だった。だってこの子、初対面で何言ったと思う?」

覚えてる?と確かめるように海菜の方を見る。なんだっけ?と首を傾げた。

「…"小桜さんって綺麗だよね"が第一声よ」

チャラいな…と安西くんが海菜を冷めた目で見る。海菜は困ったように苦笑いして頭を掻いた。

「ああ。いやぁ…あれは自分でもびっくりした。けど、どうしても話してみたくて。どんな子か知りたかったんだ。そう言う君だって私のこと気になってたでしょ?」

「…変な子だとは思った。けど…せっかく話しかけてくれたのに無視するのも嫌だったから。悪い人には見えなかったし。それに…貴女なら私を助けてくれる気がしたの。内側に閉じ込められていた本当の私を」

あの時 "女の子だからって可愛くいなきゃいけないの?"彼女のその言葉を聞いた瞬間、内側に閉じ込められていた私が助けてと叫んだ。
彼女なら、私を助けてくれると。

「私も…あの時なんとなく、君が"助けて"って言ってる気がした」

「ほんと…貴女って人の心を見透かせる能力でもあるんじゃないかってくらい鋭いわよね…」

「…俺も正直、あの時鈴木が怖かった。心の奥まで覗かれてるみたいで。だから…怖くて咄嗟に手が出ちゃって…悪かった…」

「ああ、大丈夫。殴られるのも、望が私を庇うのも予測してた。望のあれは条件反射みたいなものだからなぁ…どうも彼の中には私を守らなきゃいけないっていう使命感みたいなのが染み付いちゃってるらしい。まあ…中学の頃から王子と騎士とか、主人と執事とか、魔王と側近とか、姫と王子とか…そんな関係の役ばかり回されてきたってのもあるけど…もしかしたら前世では本当に主従関係にあったのかもしれないな…」

姫と王子というのが引っかかる。どちらが姫役だったのかと問うと、私だよと誇らしげに親指で自分を指した。彼女がお姫様を演じている姿が想像できない。

「姫つっても、度々城を抜け出して冒険するようなお転婆姫だったけど。でけぇ姫だなって同級生の男子に馬鹿にされたけど…舞台見たら黙ってくれたよ。後で謝られた」

「凄くストーリーが気になる…」

「今までの台本は全部残してあるんだ。台本でよければ今度見せてあげる。安西くんも今度うちに遊びにおいでよ」

「!…俺もいいの?」

友達なんだから、当たり前でしょうと彼女は笑った。
ぼろぼろと再び泣き出してしまう安西くん。
意外と涙脆いようだ。私の中の、近寄りがたかった安西くんのイメージがバラバラと崩れていく。
本当の彼はきっと、海菜がいなかったら誰にも知られずに、外側の自分に殺されていたかもしれない。本当の私もきっと。

「…海菜、私決めた」

「うん?」

「…なるわ。カウンセラーに。…やっぱり私、貴女みたいに…人の心に寄り添える人になりたい」

私がそう言うと彼女は、私はカウンセラーじゃないけどね。と苦笑いしてから、応援するよと続けた。


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