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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-22

アニメショップへ行きたいという男子達と、少しの間だけ別行動することになった。

「私らこの辺で待ってるから、絶対帰ってこいよー」

「んだよ、本当に女子は行かねーの?」

「散々付き合ってやってんだ。ちょっと休憩させてくれや。なぁ?2人とも」

月島さんの言葉に張本さんが頷く。同意を求めるように、2人が私を見た。

「そう…ね。私も少し休みたい」

「ゆっくりしてこいよ。私らもゆっくり休みたいから。ここに居るからな」

去っていく男子2人に手を振る。見えなくなったところで月島さんが私を見てニヤリと笑った。

「今のうちに電話でもしたら?愛しのあの子に」

「…貴女、そのために2人を厄介払いしたの?」

「それもあるし、私があいつらと一緒に居ると疲れるってのもある。ほらほら、電話しちゃいなよー。向こうもユリエルの声聞きたがってるんじゃない?」

張本さんも私達の関係は知っている。隠す必要のない2人の側なら、彼女との会話内容に遠慮する必要も無いが…

「向こうの男子は上野くんと杉野くんと星野くんだろ?あいつらなら別にバレても問題ないよ」

「…でも…迷惑じゃないかしら」

「大丈夫だって」

「あ、ちょっと!」

月島さんが私の手からスマホを奪い、LINEの通話ボタンを押した。スマホを返し、張本さんを連れ、少し離れた場所に移動して行った。切ろうとするより早く、彼女が応答する。

「も、もしもし海菜?」

『…百合香?』

弱々しい声だった。

「ごめんなさい、急に…大丈夫?体調悪い?」

君の声を聞いたら治った。と彼女はいつものように返す。けれど、声に元気は無い。

「…無理しちゃダメよ」

『…ありがとう。けど本当に大丈夫だから。班の子達は?』

「男子は今ちょっと別行動。女子は…近くにいるけど、気を使って1人にしてくれた。そっちは?」

『こっちも気を使って1人にしてくれた』

「寂しくない?」

寂しいって言ったら今すぐ会いに来てくれる?と彼女は冗談っぽく言う。私も今すぐにでも会いたいが、今は無理だ。けれど

「そうね。貴女が私を呼ぶならどこでも駆けつけるわ」

昔、彼女が言ってくれた冗談をそのまま返す。
まるで王子様だねと、あの時の私の言葉をそっくりそのまま返してきた。前にもこんなやりとりしたねと彼女が笑う。

「あの時とは逆ね」

『そうだね。…ねぇ、私の王子様』

「なぁに。お姫様」

私の返しにくすりと可笑しそうに笑った。お姫様なんて言われたの初めてだよと明るい声が聞こえた。

「ふふ。私も、王子様なんて言われたの初めてよ。…それで?」

『うん。あのね…』

すぅ…はぁ…と、電話口から深呼吸する音が聞こえた。

『…高校を卒業したら、一緒に暮らそう。2人で』

同棲しよう。と彼女は冗談っぽく言い直した。急だが、返事は迷うまでもない。

「…えぇ。私も貴女と暮らしたい」

『2人とも学生だから、ちょっと生活苦しくなっちゃうかもしれないけど…』

バーテンダーの養成学校があるらしく、海菜はそこに行くと言っていた。私は心理学専攻で地元の大学へ行くつもりだ。色々悩んだが、心理カウンセラーを目指すことに決めた。

「…そうね。けど、貴女が居るなら平気よ」

『うん…ありがとう』

小桜さん。と、張本さんと月島さんが私を呼びに来た。男子達が戻ってきたようだ。

「…そろそろ切るわね」

『うん』

愛してる。と、電話口で彼女が呟いた。いつでも会える距離にいるのに、遠距離恋愛をしているみたいだと思いながら、私もと返す。

「…私も愛してる。じゃあ、また後でね」

電話を切り、スマホをしまい、皆の元へと戻る。私はどうやら、お手洗いに行っていることになっていたらしい。安西くん達は私が恋人と電話をしていることを知ったら、しつこく聞きそうだからと、月島さんが気を利かせくれたようだ。


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