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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-17

最終日。クラスごとに、東京の観光地を見て回る。私達は動物園だった。

「おはよう、望」

「王子、おはようございます」

昨日の小春ちゃんのお願いのせいだろう。完全にアレクが乗り移っている。先生達や同級生から散々心配された。

「なぁ…鈴木…今日こいつ、ずっとこれ?」

同じ班の杉野君が苦笑いする。本当はもう1人女子がいたのだが、風邪で休んでしまったため、女子は私1人だ。

「…多分」

「望はよく抜けなくなるよなぁ…」

同じ部活の上野君が苦笑いした。彼が同じ班で良かった。

「キャラが抜けなくなるってマジなんだな。お前らもあるの?」

「俺もたまにあるよ。なったのは高校入って初めてだけど」

「悪役が抜けなくなったら大変じゃね…?」

「自分と懸け離れてるキャラは大丈夫だよ。近い方がなりやすい」

「私は無いよ。自分とキャラは分けて考えてるから」

百合香達とも同じ話をした。デジャヴだ。二日前に戻った気分になる。そう思っていると、望が私の肩に自分の学ランをかけた。

「…お身体を冷やすといけませんから」

「…ありがとう」

なんだか、ボーっとしている。昨日のことをまだ考えているのだろうか。

「ほんと、騎士と王子だな…てかさー、なんでせっかくの東京なのに動物園なんだよー…」

「いいじゃない。私、ハシビロコウ見たい」

「ハシビロコウ…ですか?」

「望知らない?頭がデカイ鳥。ほとんど動かないことで有名なんだけど」

「申し訳ありません…存じ上げません」

「動かない鳥見てどうすんのよ…」

「杉野はなんか見たい動物居ないの?」

「んー…爬虫類は好きだけど…」

「爬虫類いいねー蛇とか可愛いよね」

わかるか鈴木!と杉野君のテンションが一瞬にして上がった。ここまでテンションの高い杉野君は初めて見た。相当爬虫類が好きなようだ。望と上野君が顔をしかめる。

「か、可愛い…?」

「…トカゲなら…平気ですが…」

「アシナシトカゲは?」

「アシナシ…?」

首をかしげる2人に写真を見せる。上野くんは顔を逸らし、ふるふると首を振った。望はまじまじとみている。

「写真は平気なんだな」

「えぇ。…蛇とどう違うのでしょう」

「トカゲには瞼があるんだけど、蛇にはないんだ。見た目は蛇だけど、瞼があるからトカゲ」

「私、蛇マフラーしたい」

「良いよなあれ!俺もやりたい!」

いけません。と望が静かに私達を、正確には私を叱った。

「噛まれたりしたらどうするんです」

「大丈夫だよ。噛まれたら噛まれただよ。飼育員さんも付いてるだろうし」

「ですが…」

「…望もやる?」

「私は…遠慮します。蛇は苦手なので…」

アレクにその設定は無かった。多分、望自身が苦手なのだろう。杉野くんもすっかり慣れたが、普段の望に戻る気配はない。
俺まで釣られそうと上野君が呟いた。去年の文化祭の劇での彼の役はアレクの同僚の1人。最初は名前は付いていなかったが、望と私で騎士Aや、村人A達にそれぞれ名前を付けた。上野君の役名はギルバートだ。アドリブでギルと呼んだ覚えがある。ルーク王子の声で彼の名前を呼んでみる。やめてくれと上野君は苦笑いをした。

「てか、なんで今更アレクなんだ?あの劇に思い入れがあるのは分かるけどさ…」

「私の友達がアレクにガチ恋でね。罰ゲームでデートすることになっちゃって。アレクが女性とデートするイメージが掴めなさすぎて混乱してるみたい」

「お、おう…アレクにガチ恋か…確かにあいつが女性とデートしている姿は想像出来ないな…」

「鈴木が練習台になってやればいいんじゃね?」

「私はルーク王子だからなぁ…アレクに女性として見られることはあり得ないな…」

「まあ、劇中のアレクのルーク王子に対する想いは憧れを超えてると思うけどな…望の鈴木さんに対する想いが強すぎてアレクにも反映されてんのかもしれないけど…」

「でも星野の片想いなんだよな…俺、絶対付き合ってると思ってた」

杉野くんの言葉に俺も。と上野君が頷く。望は何か考え事をするように遠くを見つめていた。


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