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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-16

「やったー!私上がりー」

小春ちゃんが一位で上がる。今のところ、手札が一番少ないのは俺だが、ずっと何も出せないでいる。気になったのか、小春ちゃんが覗きに来た。手札を見せる。

「…絶望的だろ?」

「うわ、革命でも起きない限り勝てないね…なんでこれさっさと出さなかったの?」

「…出せなかったんだよ」

「私の切り方が悪かったのかな…ごめん…」

「いや、小春ちゃんのせいじゃないよ…俺の運が悪かった」

最終的に残ったのは、1枚の3。一番弱いカードだ。パスし続ける俺に、流石に察したのか長谷川さんが核心を突く。

「ナイトくん、もしかして3しか持ってない?」

「…さあな」

「うわ、図星だ。最下位決まったからもうやめる?」

「まだだ。俺は諦めない」

「そんな星野くんに残念なお知らせがあります。今スリーカード出さなかったら革命起こせた」

「…月島さんも案外ドSだよな」

「あたし上がりー。ナイトくん見に行こうっと」

ひょっこりと長谷川さんが俺の望の手札を覗き、ぶはっと吹き出した。

「…福ちゃん、革命を起こしてくれないか…」

「起こせたら起こしてやりたいけどなぁ…すまんな、星くん。俺、これで上がりなんだわ」

「はい、私も上がりー」

「私も」

続々と上がっていく。残るは小桜さんと海菜と俺だが、実質小桜さんと海菜の一騎打ちだ。小桜さんが9を出し上がった。2人ともパスをし、場が流れる。4枚のカードを持った海菜がニヤリと笑った。

「すまんな、望。私も上がり。そして革命だ」

すっと4枚のカードを置いた。全て7。革命が起きると同時に俺の最下位が決まった。最強となった3のカードが虚しく手元に残る。

「いやぁ、私も3持ってたし、いつか革命しようと思ったんだけど…望がやたらパスするから、しない方が楽しくなりそうだと思って残してみた」

「お前はそういう奴だよな…わかってた」

「やっぱドSじゃん」

「魔王役とか似合いそうね」

「笑いながら村焼いてそう」

「最終的に側近の星野くんをあっさり殺しそうだね」

「吸収してパワーアップするパターンだな」

「星野くんは星野くんで、"貴方の一部となれるならこの命、喜んで捧げましょう"くらいはいいそう」

好き勝手喋る皆に海菜が酷いなぁ。と苦笑いした。もう一回やろうかと小春ちゃんが言う。

「罰ゲームは無しでいいのか?」

「流石に可哀想だから無しでいいんじゃない?」

「俺は別に構わないよ。運も実力のうちだからな」

一位になった小春ちゃんの方を見る。

「何かあるか?小春ちゃん」

「あ…えーっと…やってもいいって言うなら私、丁度星野くんにお願いしたいことがあるんだけど」

恥ずかしそうにうつむき、続きを言うのを躊躇うように口籠る。
告白?と月島さんがニヤニヤする。彼女は俺にそんな気はないと思っていたが。
そういう話なら、出来れば2人きりの時にしてほしいなぁ…と思っていると、彼女が決心したように顔を上げた。飛んできたのは、意外な言葉だった。

「…わ、私ね…アレクとデートがしたいです!」

アレクが文化祭の時に演じたキャラクターだということは直ぐに理解できたが、頭が追いつかない。アレクが好きだとは前々から聞いていたが。一瞬でも告白だと勘違いした自分が恥ずかしくなる。いや、それに近いものではあるかもしれないが。

「えーっと…」

「あ、あの…私、本当にアレクが好きで…い、一回だけでいいの!ば、罰ゲームって言っても無理強いはしないから!断ってもいいからね!」

「いいじゃない、アレク。受けてあげなよ」

海菜が楽しそうに言う。いや、彼女ではなく、ルーク王子だ。
自分が演じたキャラではあるが"彼"が女性とデートをしている姿は想像出来ない。幼い頃からずっと王子の側に居た。そして、最後も王子に看取られ亡くなった。彼は、王子のために生き、王子のために死んだ。王子以上に王子のことを常に考えていたと思う。そんな彼のプライベートが想像出来ない。自分の中の彼が、助けを求めた。海菜に助けを求める。

「…たまには休息も必要だよ。アレク」

行っておいでよ。と彼女…いや、彼は笑った。人の気も知らないで…いや、わかっていて楽しんでいる。月島さん…もとい、王子の恋人のフローラもこくこくと頷いた。2人につられ、役が入る。

「…休息…ですか…」

キャラ設定と脚本を作った前部長は、詳しいキャラ設定は自分で足していっていいよと言っていた。君の思い描くアレクが正解だと。アレクならどうするのだろう。

「…混乱してんな、ナイトくん…てか、今はアレクか」

「ご、ごめんね…困らせるようなこと言って…」

「…いえ…少し考えさせてください」

"彼"は王子のことしか考えて来なかった。恋なんてしてこなかったはずだ。女性からアプローチを受けたことは、何度かありそうだが、常に王子を優先していたと思う。しかし、その王子から行っておいでと言われたら、断れない。いや、そもそも断る理由はないだろう。

「…わかりました。私でよろしければご一緒します」

「!ほんと!?やった!嬉しい!」

喜びを全身で表現するように、ぴょんぴょんと小春ちゃんが飛び跳ねた。


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