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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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修学旅行-12

風呂から上がり、髪を乾かしていると、部屋をノックする音が聞こえた。百合香は、あれほど来ないと言っていたのに。期待してしまう自分がいる。慌ててドライヤーを止め、乾き切っていない髪から垂れる雫をタオルで拭きとり、扉を開ける。来ないと思っていた彼女がそこに居た。

「…来ないんじゃなかったの?」

「…貴女が寂しがっているだろうと思って来てあげたのよ」

「何それ」

会いたかったのは、君も同じくせに。私が笑ってそう言うと彼女は否定せずそうねと呟いた。玄関先で立ち止まって足を踏みいれようとしない彼女を引き込み、扉を閉める。

「…もう朝まで帰さないよ?いい?」

「…えぇ」

私の背中に腕を回し、胸に頭を埋めてしがみつく。好き。と小さく呟いた。私もと返す。

「…ねぇ、海菜…貴女は…同性しか恋愛対象として見れないのよね?」

「うん。そう。だから昔から、大浴場とか苦手なんだよね…なんだか気まずくて。正直個室のお風呂に入る理由が出来てホッとした」

私は男性は恋愛対象として見れない。世間の言う"普通"の人が同性を恋愛対象として見れないように。だから、望ともつい距離が近くなってしまうし、不特定多数の女性と同じ風呂に入るのは少し気まずかったりする。
私は多分違うと、彼女は寂しげに呟いた。

「…貴女に恋をするまでは、男の人にしかときめいたことなかったし、他の女の子の裸見ても平気だもの。だから多分…貴女が特別なだけで、本当は異性愛者なんだと思う」

「…私と違うのが寂しい?」

「…怖いのよ。結婚も出産も、母の望みだと思ってた。だけど…私自身も…いつかは母親になりたいって心の何処かで思っているのかもしれない。貴女といることを選べば、一生私は私の子に会えない…」

「…んー…そうだね…産みたかったら人工授精とかあるけど…そういう問題じゃないもんね。ごめんね。私が男だったら君をこんなに悩ませなくて済んだのに」

「貴女のせいじゃないわ…性別なんて産まれてくる前から決まっているもの…どうしようもないわ。むしろ、私が男性が良かった。けれど、そうしたら貴女は私を好きにならなかったわよね…」

「…そうだね…私は…男性は恋愛対象として見れないから…君が女の子じゃなかったら、恋愛関係にはなれなかったかもしれない」

「…ごめんなさい。こんな話ばかり」

「いいよ。不安になるのはしょうがない。私も…先のことを考えると不安になるから」

両親も周りも、私達の関係を否定する人は少ない。けれどたまに考えてしまう。私は、百合香を幸せに出来ているのかと。むしろ不安要素を増やしてしまっただけなのではないかと。私が、巻き込んでしまっただけなのではないかと。彼女のことを本当に想うなら…私は、彼女から離れるべきなのではないのだろうか?
膨らむ不安を振り払うように、首を振る。

「…ああ、ダメだ。今弱ってるから余計なことばかり考える…ごめんね…ちょっと…横になっていいかな…」

私がそういうと、彼女は私を離した。ベッドに転がる。その側に、彼女が腰掛けた。

「…痛みは?」

「無い。…今はそれよりメンタルがやばい」

涙が溢れ出てくる。彼女の手が私の頭を撫でた。いつもと逆ね。と弱々しく笑った。

「…ごめんなさい。不安にさせるようなこと言ってしまって」

「一人で抱え込まれるよりはいいよ。定期的に吐き出しな。私が受け止めるから」

「…泣きながら言う台詞じゃないわよ」

彼女の手が私の手に重なる。私よりひと回り小さいはずの手が、大きく見える。

「…昼間より辛そうね」

「昼間はみんなが居たから…1人になると余計なこと考えちゃう。今日は特に。だから…私が余計なこと考えないように側に居て」

「えぇ。大丈夫よ。今日はこのまま朝まで居るから」

「…ごめんね…こんな時なのに君を抱く元気も無い…」

「…冗談が言えるなら大丈夫ね」

冷めた目が私を見つめた。溜息をつき、やっぱり帰ろうかしらと、立ち上がる彼女の腕を咄嗟に掴む。冗談よと笑い、座り直した。
彼女の手が、私の髪を撫でそのまま頬を撫でる。目を閉じると、唇に柔らかいものが触れ、離れた。しばらく見つめ合ったあと、彼女が私を転がし、仰向けになった私に馬乗りになる。

「…するの?」

「しない。…貴女、そんな気力無いでしょう?…けど、さっきの仕返しだけさせて」

「さっき…ああ、観覧車でのこと?」

「…えぇ。痕だけ付けさせて」

彼女の手が、私の首をなぞり、そのまま下へ。制服のブラウスのリボンが解かれ、ボタンが外されていく。露わになっていく肌に手を滑らせる。

「…どこに付ける気?」

「…いつもの場所よ。内腿じゃない方」

下着を少しだけ上にあげ、胸の下あたりに唇を寄せる。ふっと息を吹きかける。くすぐったさに身体を跳ねさせると、彼女は楽しそうにふっと笑った。

「…あんまり…煽らないでほしい。我慢できなくなっちゃう」

「ごめんなさい。すぐ…終わらせるから。…ん」

「んっ…」

ちゅぅっと彼女が私の肌に吸い付く音が部屋に響く。繰り返し、吸い付く。愛おしそうに、痕をつけた場所をなぞってから、何事もなかったかのように乱れた制服と下着を直した。


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