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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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もしかしたらという、希望があればそれにすがる、駄目な順子-2

 くじら公園という名の、高架下の公園で、順子はなぎなた防具一式を膝の上にのせて、途方にくれていた。
 栞理の家に招かれてから、怒涛の展開に頭も心もついていけなくなったからです。
 ママから逃げられる。
 葛西姓から、二条姓に変わるかも知れない。
 恋人になり栞理と家族になれる。
 15歳以上になれば、自身の意思表示で養子縁組を望むことも法律上可能だって、保護者ママが反対しても、虐待という事実を出せば、仮に訴えられても反訴し、勝訴を勝ち取れるって栞理はいってる。弁護士を雇うというお金のかかる方法だけど、ママから合法的に親権を奪取することできるって栞理は強気だったの。
 それにしてもこんなこと一人の女子高生で考え付くことなのかな、今のママとの現状より、栞理と逃げられるのならそうしたいし、そう思わせてる、これって陰湿な搦め手だよね、だとしたら慎二お兄様がきっと協力してるわ。そして慎二お兄様が順子の義父になり、順子と栞理は義姉妹になることになる、だけど同時に二人は恋人関係でもあるんだよねって、姉妹同士でセックスしあうって、こんなことが許されるのかしら……
 栞理ってズルイっておもう、だってこんなパパからなかだしされまくった汚ったない身体をきれいだとかかわいいとか、心にも思ってないこと、おまけにママからも色々手ひどい仕打ちされてきて、そこから救ってくれるなんてコト、そんな白馬の王子様みたいなことしてくれるというのかしら、結婚? 葛西姓から二条姓に変わる、これって間違いなく結婚よね、そうか栞理にあたしプロポーズされているんだ、嬉しい、順子の願いが叶うの?
 それにしても栞理らしいっていうの、図々しく驕傲極まる求婚って感じ、だってさ、だってさ……ママが言ってた「アンタなんか誰も買ってくれないわよ!」って、そんなことなさそうだもん、栞理ってお姉さんができるかもしれないんだよ、家族ができるの、なんかママに勝ったような気がするんだけど、うふふ、あはは、きゃぁ最高かも! ママから逃げられるって、実現するんだ、これはもう栞理と一緒になるしかないよね、なんだか栞理のと信頼し始めている、おかしいね、順子って愛を知る前に性を教えられたからなのかな、愛ってよくわからない気がしてた、この栞理を好きって感情は……どこから来るものなのかな、栞理ちゃんが教えが教えてくれる?
 次の日から栞理といる時間が増えるの、栞理は優しく親切で、なぎなたのことについては何でも丁寧に教えてくれたし、勉強に関しては順子が先生になることもあったわ。毎日が充実して、自分にも自信がもてて、凛としてたと思うの、そうすると今度はママがあまりなぎなたにのめりこんで、学校の成績のこととか、生活でのお部屋の片付けとかのコトや、セルビア語の成績とかのことを言い出し始めたので、そのことにも手を抜かない、でも栞理のことにも気がつき始めて、彼女を家に連れてきなさいよ、なんて言い始める、ママってあたしの友達とすぐ仲良くなろうとするの栞理にだけはしてほしくないから、ママが楽しみにしている順子の修学旅行のこととかにおしゃべりをシフトして避けるのよ、だって絶対にママに気づかれたら妨害してくるに決まってる、下手したら病院に強制入院させるぐらいのことママだったらやりかねないもん。
 この間なんか放課後のなぎなた部に突然ママが現れて、
「皆さんに使ってもらいたくて、こんなの持ってきましたー」
「え、はじめまして?」
「誰? もしかして葛西さんのおかあさん?」
 入部して一月もたっていないのに、ママが娘の部活に顔出すなんてひと聞いたことある? おまけにプレゼントまで持ってくるなんて!
「薙刀袋なんです、娘がお世話になっているから」
 ど派手な桃色の銘仙をみて、みんな目を丸くしてる、
「ママやめてよ、もう全員そういうの持ってるから、人にはそれぞれ趣味があるんだし……」
 ぎろりとあたしをにらみつけたママの目は怒りに震えていた、ああ、またこの眼だ、やっと楽しくなった部活にもママの手が伸びてきた、いい加減にしてほしい。
「なんで順子にそんなこと言われなきゃならないんだ!」
 あたりに響くママの大声、恥ずかしくって仕方ない、部活という別社会に家庭を持ち込んでほしいわけないのに……
「まあまあお母さん、気持ちが嬉しいです」
「順子感じ悪いわよ、親のことそんな風にいうの良くないよ」
 社交辞令とはわかっていても、順子が悪いといわれると、罪悪感から自信が消えていくように、心細くなる、そんなに悪いことをしたのかって、
「そらみなさい、順子お前が悪いんだ、皆さん味方してくれてるじゃないか」
 そういって急に笑顔に戻り、あたしを無視して薙刀袋を手渡し始めるママだった。
 その後、一時間近くもおしゃべりを続け、今日子先輩から連絡先を交換までしてしまう、恐ろしいママ、家での顔とこんなにも違う二面性、そんなことを娘に見せられるというのがあたしにとってはしんどく、とても厄介だったの。
 そんな光景と、順子のママを見つめる栞理のなんともいえない表情が忘れられないわ。
 その部活の帰り道、江戸川河川敷を順子と栞理は一緒に帰り道を共にして、
「確かにすごいママですわね順子ちゃん」
「ごめんね、嫌なもの見せて、ああいう人なんだよ」
 身内であるママを見られるの、つらいよ、なんていうのか胸騒ぎがするっていうのかな、あたしのうちのことは見せたくないし、人の家庭を見て順子の家庭が変じゃないかって思いたくはない。
「順子さんがうちに入っていただけるのなら、お母様から離れさせることはお約束できますが、ですが考えてほしいのです」
 何か大事な話をされているって感じて、自転車を止め、彼女を追い抜く形で栞理もとまった。


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