投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

呪いを解いての最初へ 呪いを解いて 92 呪いを解いて 94 呪いを解いての最後へ

ホワイトデー-6

「陸にぃ、誕生日おめでとう。はい、誕生日プレゼント。これが七美から、これが七希から…で…これは叔母さんと叔父さんから。これがお父さんとお母さんから、それからこれが、私から」

空美さんがカバンの中から次々とラッピングされた箱を取り出す。
茶碗、箸、果実酒用であると思われるお酒、少し高そうな二つ折りの黒い財布、そして紅茶のティーパック。

「これは俺からね」

空美さんのお兄さんが取り出したのは白い箱。テーブルに置き、箱を開けると現れたのはイチゴや桃などのフルーツが乗ったホールのケーキ。

「はっ…まさか…」

「バースデーケーキだよ。作ってきた。誕生日おめでとう」

ケーキを見て目を輝かせる陸さん。大人の男性だと思っていた彼が、一気に幼く見える。

「私の前だとお兄さんぶってるけど、本来は弟属性なんだよなぁ…兄貴は」

「…海菜、馬鹿にしてるでしょ」

「いや?可愛いなぁって思っただけ。で、一人でワンホール食べる気?」

「…食べる」

「太るよ?私も食べてあげるよ」

「はい!私も食べたい。ほら、丁度美味しい紅茶もあるし、ね?」

「みぃちゃん、もしかしてそのために紅茶を…?」

陸さんには答えず、空美さんは笑って誤魔化した。
彼女のお兄さんが皆で食べようかと苦笑いする。悲しそうな顔で彼を見る陸さん。

「僕のケーキ…」

「食べきれないだろう?」

「…う…まあ…」

「じゃあ私、紅茶淹れてくるね。コップ適当に使うよー」

「俺は切り分けてくるよ」

「なっちゃん、僕の分大きめにね!てか半分食べる!」

「はいはい。元々陸のために作ったからね」

三角に切られたケーキが一つずつ運ばれてくる。陸さんの分は、ワンホールの半分。続いて紅茶が運ばれてきた。紅茶の良い香りが部屋に漂う。

「ところで陸、隣の彼女は陸の恋人?」

空美さんのお兄さんの言葉に、思わず手が止まった。紅茶を飲んでいた海菜と陸さんが咽せる。空美さんは動じることなく、優雅にお茶を飲んでいる。

「いえ、私は…」

「あー…いや、彼女は僕の恋人じゃなくて…」

「百合香は"私の"恋人だよ。なっちゃん」

"私の"という部分を強調しつつ、さらっと言い、ぐいっと海菜が私を抱き寄せた。空美さんのお兄さんが目を丸くする。

「あ、ああ、海ちゃんの恋人…なのか…ごめんね。海ちゃん」

「いいよ、別に。私が同性しか好きになれないって、なっちゃんには言ってなかったもんね」

「ああ。初めて聞いた。…陸は知ってたの?」

「僕も最近聞いたばっかりだよ。去年の秋くらいかな。急に"彼女が出来た"ってLINEがきてさ…誤字かと思ったら本当に女の子だった…しかも可愛いし…」

はぁ…と溜息をつく陸さん。黙々とケーキを食べている空美さんに視線をやる。

「みぃちゃん…動じないね?」

「ん…」

急に話を振られ、口をもごもごさせながら、ちょっと待ってと手で制した。食べていたケーキを飲み込み、紅茶を一口飲んでから答える。

「私は元々海ちゃんが百合香ちゃんのこと好きだってこと知ってたから」

「え、いつからですか?」

「入学した直後くらいかな。一目惚れした女の子がいるって相談されて」

「私が同性愛者かもしれないって、中一の時に初めて打ち明けたのもみぃちゃんなんだよ」

「秘密にしておいてって言われてたから…ごめんね、陸にぃ、お兄」

「僕はみぃちゃんの次かぁ…」

「いや、兄貴より先に望と小春ちゃんにも相談して、母さん達にも打ち明けてるから…兄貴は5番目だな」

寂しそうに言う陸さんに追い打ちをかけた。拗ねるなよと海菜が、唇を尖らせる彼の頭を撫でる。変わらないなと空美さんのお兄さんが笑う。釣られて空美さんも笑う。 私の手を握り、海菜が微笑んだ。
自分に嘘をつかずに、彼女に想いを伝えて良かったと、心の底から思った。


呪いを解いての最初へ 呪いを解いて 92 呪いを解いて 94 呪いを解いての最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前