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梨花
【その他 官能小説】

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梨花-27

 「3人ともね、どうしてもお祝いのプレゼントがしたいって言うのよ」
 「いいや、それは葉書に書いたとおり遠慮させて貰う」
 「そうでしょ? オサムはそういうこと言い出したら聞く耳持たない人だから。それで私考えたの」
 「何を?」
 「3人の服装見て頂戴」
 「はぁ?」
 「これがオサムにとって一番嬉しいプレゼントなんじゃないかなと思って3人に頼んだのよ。なるべく胸を強調する服装して来て頂戴って。それがオサムの一番喜ぶことだからって」
 「・・・」
 「でしょ?」
 「でしょ?って俺は何と答えたらいいんだ?」
 「こういうの好きでしょ?」
 「ムム」
 「さっきから眼が忙しく動いているよ」
 「馬鹿言うな」
 「どうですか? 私日頃はなるべく胸が目立たないように気を配っているものだから、胸を強調する服装って言われても困っちゃって。それで3人で相談して舞台衣装専門店に行って、それぞれ違った感じの服装を選んで買ってきたんですよ」
 とこれは1番奇抜な服装のアスカ。
 「今度これお店に着て行ってお客さんの反応見てみようと思って、凄く楽しみなの」
 「私もこれ着てるとなんか胸が全部出てるみたいな気がして気になって気になって1分おきに確かめてるって感じで歩いて来たの」
 とこれは襟刳りの大きい服を着たユカリ。 
 「私は胸を露出する勇気が無いからこれにしたんだけど、ノーブラで外へ出たなんて生まれて初めてだから緊張しちゃって汗だくだく。もうすれ違う人がみんなジロジロ見るし」
 「私だって緊張だよー。これ見てみなよ。『お嬢ちゃんおっぱいがこぼれてるよ』ってすれ違いながら声を掛けていった男もいたんだからぁ」
 「私もぉ、大体これ街着じゃないもんネ。こんなの着て外歩いたの分かったら彼氏に怒鳴られちゃうよ。 『何かアダルト・ビデオの撮影ですか? 』ってわざとらしく聞いてくる奴だっていたし」
 「でもそれ全部隠れてるから恥ずかしくないでしょ?」
 「そんなこと無いよ、これ付けてごらん。ほんとこれ学芸会かなんかにでも出るみたいで恥ずかしいよぉ」
 「でも私のなんかモロ見えだもん」
 「臍までネ」
 「やだー、ジュンが一番狡い。ただノーブラっていうだけだもん」
 「厭だ、後ろから見てごらんなさいよ。何も無いんだから、何も。背中丸出しなのよ」
 「背中くらいいいわよ」
 「良くないわよ。ビキニの水着だって紐くらいはあるのにこれはネック・ストラップがあるだけで何も無いのよ。私はノーブラですって宣伝して歩いているみたいなもんよ」
 「まあまあまあ、お3方とも。私なんかいつもそんな感じの服装なんですよ。1回くらいでギャアギャア言わないの」
 「それは梨花は特別よ」
 「そうよ、亭主の好きな赤烏帽子って言うじゃない」
 「おっ、学があるんですね。ジュンさんは」
 「オサムはそういう古い言い方が好きなのよ」
 「古き良き伝統と大きなオッパイは廃れないで欲しいな」
 「廃れないわよ、男がそれを望む限り。結局なんだかんだ言っても女ってその時代時代の男が求める理想の女性像に向かって努力しているのよね」
 「そうそう、凄いなジュンさんは。そういう洞察力のあることを言う女性もいるんだな」
 「ジュンは大卒なんだから」
 「そうですか。でも確かに時代の求める女性美ってあるんですよね。例えばビクトリア朝の極端に締め付けたコルセットとか反対にボッケリーニの描いたビーナスみたいに豊かな腹をした女性とか。江戸時代の浮世絵の美人画に出てくる女性がみんな極端に長い顔してて今見ると変な顔だなって思うでしょ? だけどあれも江戸時代には本当にそういう顔が美人だとされていたらしいですよ」
 「オサムさんこそ学があるんですね。私のは単なる聞きかじりだけど」
 「いやいや学問はみんな誰かやどっかから聞きかじったもんで、自分だけで考え出すなんていうのは無いんです」
 「オサムはね、ときどき急に国語の先生になったりしちゃうのよね」
 「でもネ、私の友達から聞いた話だけど異常に細いウェストが好きな男って今でもいるらしいよ。なんか凄いきついコルセット買ってきてそれを年中してろって言うんだって」
 「それは厭ぁね。食べらんなくなっちゃうね」
 「だからすぐ別れたって」
 「女の食欲は美しくなりたいっていう欲望より強いんだな」
 「それは無いでしょ。男の食欲だって意地汚いのいるよねー」
 「そうそう。私のお客さんで付け出しはなんでも全部食べて帰る人っているよ」


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