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祭りの日の儀式
【若奥さん 官能小説】

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宵宮-2

 悟が、宵宮の行われている東部地区公民館に到着したのは、19時15分を回った所だった。
 本来であれば、準備段階から出席していなければならないのだが、役場業務の都合で、この時間になってしまった。
 東部地区公民館は、祭りを主催する神社に一番近い公民館。打ち合わせや待機所、荷物置場に酒盛りの場所。祭りの際には、何かと重宝する施設である。

 定刻通りに始まったようで、既に乾杯が済み、各々酒を口にしていた。
 悟は、遅れたことを謝りながら、皆に頭を下げ、まずは東部地区の自治会長である小野寺の席に向かった。
 小野寺は、地元の中学校を中心に、教師を務めていた。いつでも背中をシャンと伸ばし、キビキビとした所作で、厳しい指導をすることで有名だった。
 その反面、ユーモアさも兼ね備え、厳しいだけではなく、生徒を思う優しさも持ち合わせた先生であった。
 退官して、もう70歳も後半になるののだが、現役時代と変わらず背筋をピンと張った姿勢は、そのままだった。

「先生、遅くなりました」
 小野寺は、この祭りでの実務責任者としての重責を担っている。
 悟は、中学時代の内2年間担任として小野寺に教わった。3年次の担任でもあり、恩師と言えば、真っ先に小野寺を思い起こす。
 悟と3年間クラスメイトであった臣吾にしても、同じことが言える。
「おおっ、悟か。いつもご苦労さんな。今日は仕事か?」
「はい。とは言っても、祭りの絡みなので」
「そうか、そうか。なんだ、大活躍じゃないか」
 焔人が、祭りの運営や盛り上げ役に、少なくない力を寄与していることは、祭り関係者では周知の事実。
 自分の教え子が、その中心で活躍してることを、小野寺も自分のことのように嬉しく思っていたのだった。
「いえいえ。たいしたことはしてないですよ。臣吾も戻ってきて、力貸してくれてるし、一緒にやっている奴らは、昔から馴染みの奴ばかりですから、楽しんでやってるだけです」
 小野寺に対しての恐縮ではなく、本心を言ったまでだった。
 その返答も含め、小野寺はうんうんと満足気に頷いていた。

 若手が集まる席に着くと、焔民のメンバーは、3割程度の出席状況だった。
 メンバーの多くが、勤め人なので、いつも20時を過ぎてからの参集が常。
 集まるまでは、主に、顔役や実行委員の面々に、酌をして回ることが、例年の流れになっている。
 焔民が、祭りに関わりたいと言い始めた当初は、煙たがっていたお歴々が多かった。中には、露骨に拒否反応を示す長老衆もおり、ギスギスした関係の中、祭りの運営をしていたものだった。
 しかし、年月が経ち、焔民の活躍を目の当たりにすると、その貢献を認めざるを得なかった。
 逆に、彼らに頼ることも多く、今では重要な位置付けにあると、多くの者が感じていた。
 特に、寄る年波から身体的な負担が大きくなっていることは否めず、どうしても若手の力をかりなければならないことは、事実だった。
 そんな事情もあり、今では、無くてはならない面子になった焔民。今では、古くからの祭り運営者たちと良好な関係の下、一致団結して祭りの屋台骨を支えている。

 20時を過ぎれば、参加者もほぼ揃い、アルコールも回ってくる頃合い。必然的に、声は大きくなり、どこかしこで座談が盛り上がっている。
 そんな中、長老衆の中に、毎年同じ話をする爺さんがいる。
 洋品店の親父で、助平さでは町で一二を争うと言われる田沼伊造が、ハイテンションで、昔のスケベ話を声高らかに話始めた。
 毎年のことなので、出席者は飽き飽きしているのだが、本人は、酒に酔っていることもあり、意を介さない。

「俺は、毎晩女房を抱くくらい床入が好きでな。この時期が来ると、いつも悶々としていたもんだ」
 祭り期間中は、身を清めることとされ、祭りの始まる日(迎え火)の0時から、祭りの終了時(送り火)の23時59分までは、禁欲期間となる。
「若い頃は、盛りもあって、祭りなんか早く終われ早く終われと思っていたなぁ。うん」
 遠い目をし、昔を懐かしんでいる伊造。
 周りは、いつものことだと、ほとんど耳を貸さない。それでも、本人は至って上機嫌に、独演会を続けている。
「まだまだ若造の時代は、宵宮を途中で抜けることも出来ず、後片付けまでやらされるもんで、早く家に帰ることも出来ん。結局は、3日も我慢せにゃあいけん。昼間っからやりゃあいいじゃないかと言われても、準備やら何やらもやらんといかんし、それは無理だったなぁ」
 もう何年も聞いている長老衆は、また始まったと言わんばかりに呆れた目で、この助平な爺さんを見ている。
 若手は若手で、ぞんざいな扱いをすることも出来ず、捕まったら最後、試練のように長話に付き合わなければならない。
 なので、自然と彼の周りから人は遠ざかっていく。
 それでも、気にすることなど無く、更に饒舌になっていく伊造。
「いつも22時を過ぎた頃になると、年上の目を盗んで、抜け出して、母ちゃんが待つ家まで走って帰るのよ」
 
「うちのやつも、あれはあれで、昔は中々の美人でな。乳もこうデカくて」
 伊造は、胸を上にあげる様な仕草を手で作る。
「心得たもんで、家に帰ると、素っ裸で待っていてな。すぐにチンボコにしゃぶりついてくるんだわ」
 思い出すことで、自分自身も興奮してきているように見える。年齢的に、その機能は不全状態だが、若かりし頃は、猛々しくそそり立っていたと豪語している。
「走って帰るもんだから、チンボコなんか蒸れて汗臭いもんだが、それでもおかまいなくしゃぶってたんだから、あれも助平な女だったんだなあ」
 奥さん。今となっては、80過ぎの婆さんだが、往時はお盛んだったようだ。現在の皺くちゃで、杖を突いて歩く姿からは想像できないけれど。


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