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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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文化祭-12

「望。お待たせ」

「…ああ」

放課後。望は中庭のベンチに座り空を見上げていた。隣に座る。彼はボーっと空を見上げたまま深いため息をついた。彼の言葉を待つ。何度か息を吐いたり吸ったりした後、ようやく言葉を発した。

「…前も言ったけど…俺は海菜が好きだ」

「…うん。何回言われても、私は君の気持ちに応えることは出来ないよ」

「わかってるよ。ただ…あんな形で言うつもりじゃなかったから…改めてちゃんと言っておきたかったんだ。好きだよ、海菜」

「…ありがとう。望。…応えられなくてごめんね」

「…こちらこそ、ありがとう。…小桜さんとお幸せにな」

それだけ言って、再び黙り込んでしまう。話はこれだけ?と問うと、否定をしたが、話すのを躊躇うように俯いた。やがて決心したように口を開いた。

「…今日、部長に告白されたんだ」

「…部長に…え、部長?」

「…うちの部長な」

「それは分かるけど…全然そんな気ないと思ってたのに」

「…一瞬だけ、部長と付き合うことでお前の事を諦められるならとも思った。…多分、向こうが俺に付き合おうって言ったのもそういう理由だと思うんだ」

「ああ、そういう…。けど君はそこまで器用じゃないだろ?」

「…ああ。だから、断ってきた。付き合ってから始まる恋もあるんじゃない?って部長は言ってたけど…俺が真面目すぎるのかな…」

深いため息をつく。自分のそういう真面目なところが短所だと思っているのだろうか。私はそうは思わない。

「…私は望のそういうところ、良いところだと思うけど。私も君と同じ立場ならきっぱり断るよ。忘れる為に好きでもない人と付き合っても結局忘れられない気がする」

きっと、余計辛くなるだけだ。
何が間違いで何が正しいか、決めるのは誰かわからないが、私は彼が間違った事をしたとは思わない。そう伝えると、そうだよなぁと望はホッと息を吐いた。自分のした事を、肯定して貰えてホッとしているようだった。

「…ありがとう海菜」

「…どういたしまして。さあ、そろそろ帰る?」

ベンチから立ち上がり、一歩進んだところで呼び止められ、振り返る。

「…まだ何か話し足りない事ある?」

「ああ…いや…その…海菜は…今幸せ?」

「…幸せだよ」

私がそう答えると、悔しそうに唇を噛み締め俯いた。

「…そうか…おめでとう」

「…ありがとう」

肩を震わせ、ぼろぼろと大粒の涙をこぼす。

「…1人にした方が良いかな」

「いや…居て欲しい」

「…わかった。じゃあ側にいるね」

「…悪い」

「良いよ。…ありがとね、好きだって言ってくれて」

初めて好きになった相手が同性愛者で、きっと凄く悩んだだろう。戸惑いながらも受け入れて、それでも好きだと言ってくれた。私は彼の想いに応えられなかった。けれどきっと、これから先現れる彼の恋人になれる人は凄く幸せな人なのだろう。


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