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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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小さな売春婦-2

 パパは優しくてママから守ってくれる人で、気持ちの良いコトをしてくれる人なんだってなんとか納得しようとしたけど、やっぱり無理よ。
 よごれた汚い順子って意識を変えられはしないと思うし、っていうか嫌なのはお友達とのかかわり方もなんかぎくしゃくし出してたことかな……
 なんていうのか、あたしみたいな不潔な子が、お友達といるの申し訳ないみたいな、そんな咎を覚えるの。
 そのせいでお友達と話すのに引っかかる様になって、何か発音が下手くそになっていくの。ホントにあった事なのか、記憶がはっきりしないことなんだけど、まあそういう事色々あたしにはあり過ぎるし、まあ別に。えーっと国語の授業で、音読をさせられたときだったわ。
「葛西さん、ここ読んで、この作者が何を感じたのか説明しなさい」
 小学5年生になってからの体育会系女で、ノリはいいけど、融通が利かない先生だ。あたしが国語の授業中、家族の話が出てきたときがあって、あたしは過去の記憶の断片から静かなパニックを起こしたの、『父親の手を取り歩き出します』というなんてことない(他人にとっては何事もない一文だろうけど、こういう何気ないことで順子はテンパッちゃう)
「こ、この作者のきもちなんてわかりません」
 たしか谷川なんちゃら……とかいう詩人の書いた詩についての感想が右か左か答えろ的な、ありがちな授業だったけど、順子の正直な気持ちだったし、あたしが言ってやったの。
 だってこの女29歳になっても、この学校で一番若い女性教師って感じで、職員室でぶりっ子するのよ? 今年入った三歳年下の小林先生がにやにやするとこ何度も女子たちの間で噂になってるし、BBA死ねよって言ってるのはお友達のさやかちゃんで、あたしも同意。
 ただその時、順子は昨日のパパとの行為をフラッシュバックしていて、暖かな家庭というイメージのこの国語授業とは順子のイメージが全然違っていたから、ほかの事が全く聞けなくなっちゃってね、大きな声で英語で反論したの。自分でもおかしな行動してるって思ったけれど、「Even though you are a fool, I am not stupid to me」「I am here! Why will not you understand?」(先生が馬鹿だからってあたしまで馬鹿だと思わないでよ、あたしはここにいるのに、何でそんなこともわかってくれないのよ)
 小生意気だとは思うけど、この脳筋女の幸せ的な家庭のイメージをぶつけられているの、ガマンできなかったし、抵抗してやろうって、この女許せないなって、思ったわ。
「英語使えばわからないって思っちゃってるのかしら? よくないことよね」嫉妬に燃える目をしている、小学生にやられたくらいでいい大人が何してるのかしら……
 あたしの方法が言葉だけで、証拠残らないように、この女担任の方法だって陰険。
 翌日の朝、教室に来て順子は体が固まって身動き取れなくなっていたもん。
〜〜葛西順子のお葬式〜〜
死んでよかった
英語話す前に日本語使えば死ななかったのに
ばーーーか
死ね
これで死んだらマジウケるんですけど
バイバイ順子ちゃん
前から生意気で嫌いだったんだ、いなくなってすっきりした
さっさと逝って、外人さん
 字体には見覚えがあった、「小畑順子のお葬式」の字は絶対に担任小畑の筆跡に間違いないわ……それも入念に、証拠が残らないように黒板にチョークで書かれているのよ。クラスの全員からの誹謗中傷の寄せ書き……
 黒板を前に、後ろからくすくす嗤うのって親友の春花ちゃんの声だろうか、振りかえって確かめるの恐くて出来ない。女の子同士の友情なんて、なんて薄っぺらで軽くて、こうも手のひらを返したように残酷に裏切れるのかって、あたしも女だからよくわかる。それが最高に嫌、なんて気持ち悪いんだろうって、どこにも居場所がない気がしてくる、苦しい、生きてるの苦しいよ、そんなに順子のこと嫌いなの? 嫌うことを共有するのってそんなに楽しいのかな……楽しんだろうね。
 アレって思う、体が震えてきて、歯がカチカチ鳴ってきて、プールから上がって寒いときのあれみたいだった。
 どれくらいの時間が経ったのか、わからないけど、担任の田畑先生が入られてきて、
「みなさん、おはようございます」と普段のように、日常のひとコマみたいに、いつものことみたいに挨拶する。
「全員起立」日直が号令をかけるの。
「挨拶はいいから、まずは弔辞を、故人を偲んでね」
「ハイ」
 そういわれて学級委員が手を上げる、さっき嗤ってた真美ちゃんだった。
「順子ちゃん
順子ちゃんへ
英語の勉強の出来る子だったね
でもそれを悪いことにつかう
みんなを苦しめる悪い子でした
今度生まれてくるときは
いい子になってね
さようなら」


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