投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

呪いを解いての最初へ 呪いを解いて 80 呪いを解いて 82 呪いを解いての最後へ

私達のバレンタインデー-4

「チョコレート、ありがとね。美味しかった」

「来年も時間があったら交換しましょう。再来年も、その次の年も」

彼女の口から、当たり前のように、未来の約束が出る。
それだけで嬉しくなる。

「…何よ、ニヤニヤして」

「…いや、来年も再来年も、その次の年も…こうやって私といる未来が、君には見えてるんだなと思って」

「…貴女と別れるなんて考えたくもない。別の人と恋人になるのも想像できない。この国で結婚が出来なくて、一生子供を授かる事がなくても、私は貴女と一緒がいい。…世間の目が気にならないと言えば嘘になるけど…けど…私が思っているほど、世間は厳しくないのはもう十分わかったから。恵まれてるだけ…かも知れないけど…」

「…そうだね。みんな良い人ばかりだ。だから、応援してくれる人達を大切にしないとね」

「そうね」

話しているうちに、駅が近づく。
永遠の別れではない。しかし、一緒に居ない時間は寂しい。ずっと一緒にいたい。このまま時が止まってしまえばいいのにと思うほどに。

「…楽しい時間はあっという間ね。貴女といるとすぐにおばあちゃんになっちゃいそう」

冗談っぽく、彼女は言う。「最近小春から、貴女に似てきたって言われる」と言っていたが、小春ちゃんが似てきたと言うのはこういうところだろうか。

「…おばあちゃんになっても、君の隣には私が居るのかな」

当たり前でしょと彼女は笑った。即答だった。

「…そっか」

以前の彼女ならきっと、すぐには答えなかっただろう。
私と付き合い始めてから、素直になった気がする。そして、たまにだが、わがままを言うようにもなった。それが私はすごく嬉しい。めちゃくちゃな我儘に困ってしまう時もあるが、それもそれで楽しいと思えてしまうのだから、恋というのは恐ろしい。

「…ねぇ、海菜」

「うん?」

「…ここまで来てなんだけど、寄り道しない?もう少し、貴女といたい」

「…ふふ、私も。いいよ。どこ行く?」

お任せするわと言いかけ、首を振る。こっちが誘ったんだから、自分で決めないと。と小さく呟いた。

「…ああ、そうだ。私、見たい映画があるの」

「お。どんなやつ?」

「えーと、天使と人間の恋物語らしいのだけど…。ごめんなさい、タイトルど忘れしちゃった」

「天使と人間ねぇ…アニメ映画?」

「ええ。小春が確か、それに出る声優のファンだって言ってた。ヒロインの声優さんだって言ってたわ。年末の歌番組にも出てたくらいの有名な方みたい。主題歌も歌ってるんですって」

「あー、はいはい。声優の名前はわかった。星名奈々ちゃんじゃない?」

「ああ、確かそんな名前」

星名奈々、天使、恋愛、映画…百合香が出したキーワードで検索を掛ける。

「…お、これかな?"永遠に君と"」

「そう、それ!」

「近くの映画館だと…今が丁度上映一時間前くらいか…」

「間に合う?」

「間に合うでしょ。次の駅降りたらすぐだよ。というか、むしろ待たなきゃいけないけどいい?」

「ええ、大丈夫よ。行きましょう」

家とは逆方向の電車に乗り、映画館へ向かった。


呪いを解いての最初へ 呪いを解いて 80 呪いを解いて 82 呪いを解いての最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前