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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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デートとおしっこ-3

「動物と子供にはあんまり嫌われないんだよね。男らしくないんだ。」
一時間も店にはいないで、俺たちは街を散歩していた。わざと人混みは避けた。天気が気持ちいい。ロマンチックな気分に浸りたかったのだ。ポプラ並木のある裏道を二人で歩いた。
「あたしは子供? あたし、動物好きです。あ、猫!」
少し先に、植木の茂みから白い猫が顔を出していた。道路を渡るつもりらしい。
「まだ子猫だ。可愛いね。あ、渡るかな。ん?」
赤い自動車がかなりのスピードで向かってきていた。猫に気付いているのか、いないのか。気付いているとしたら、撥ねとばしても構わないといった運転だ。猫は横を見ず、やみくもに走り出した。
「危ない!」
「きゃっ!」
大きな衝突音がした。それからブレーキでタイヤの軋む音。二度目の衝突音。身をすくめたポリアンナは両手で顔を覆った。
随分と気の弱い子らしい。くたりと力の抜けた体が俺に寄りかかってきた。気を失っている。優しく柔らかかった。そして思ったより小さい。
見れば、猫は道を越えて走り去っていた。赤い車は、ガードレールに傾いて衝突した状態のまま停止している。ガードレール側が大破しているのは当然としても、何もなかったはずの、車の反対側まで大きく凹んでいた。猫に当たってできた筈はない。
運転手に異状はないようだった。静かな通りに音を聞きつけた人が集まり出してきた。
車に差し向けている俺の腕が昆虫だった。変身している自分に俺はようやく気が付いた。
「やばい。」
俺は一気に飛び上がった。多分、誰にも見られなかっただろう。それほど速く高く上昇した。下では、もう人だかりが車にできている。
ところが、上昇する勢いでポリアンナが目を覚ました。
「猫は大丈夫だったよ。」
話しかけたら、遠い地面と俺の顔を交互に見て
「ひっ!」
また気絶した。
「もう知らん!」


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