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母子相姦のある風景
【母子相姦 官能小説】

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タバコ屋-1

 駅のすぐ近くでタバコ屋を営んでおります。
今どきはなかなか見かけなくなりましたが、カウンターの上に10円の公衆電話も置いている昔ながらのカウンターだけのお店です。
ほとんど毎日、午前5時半頃には店のシャッターを開けています。
その日の始発の電車の時刻の少し前に開店を合わせてますが、未だに開店と同時に顔を見せてくれる常連さんが多いのですよ。
タスポの必要な自販機と違って気軽に買えるからでしょうか、ずっと贔屓にして頂いてます。
お客さんは昔と違って若い人はほとんど見なくなり、中高年の会社勤めらしいスーツ姿の方がほとんどです。
健康促進のため禁煙を掲げた店や街が増えて喫煙所も減っていますが、一度染みついてしまった習慣は簡単に止められないのでしょう。

 開店から3時間余り、駅近くを通勤通学客が多く行き来します。
その間の売り上げがこの店の8割で、日中は散歩がてらお年寄りの方が来るくらいなんですよ。
法律によりタバコ販売は一定の店舗以上は出店規制されています。
ですので今も何とかやっていけるくらいのはそのお陰でもあります。

 朝の4時半には起きて朝食を済ませて、着替えて店を開ける。
それが結婚して私がこの店に嫁いで以来、何十年も習慣づけられた事です。
主人が亡くなってもう5年にもなりますが、今もそれは変わりません。
彼が生きていた頃は自転車の預かり所と修理店も併設していたんです。
けれども時代の流れで私鉄側から土地の買い上げがあり、それをきっかけに廃業いたしました。
土地の買い上げですので補償金は手厚く頂けましたが、夫からすれば自転車の仕事を奪われたようなものだったのでしょう。
預かり所の廃業から夫の病死までの間はほんの3年も間がありませんでした。
元々夫は別の土地で自転車屋を営んでいましたので、気落ちは激しかったのでしょう。
やむなくリヤカーを引いて廃品回収の仕事をするようになりましたが、よく咳をするようになり、一気に老け込んでいったように見えました。
それは取りも直さず、同い年の私も年を取っていく現実でもありました。

 今は小さなカウンターだけがこの店の全てです。
夫が亡くなってから実家に戻ってきた息子と二人暮らしをしています。
息子は市内の警備会社に勤めていて、毎月少なくない金額を入れてくれています。
少年時代からグレるようなことも無く、手のかからない優しい子でした。
不愛想ですぐ手が出た夫と違い、何かと私を気遣ってくれます。
それもまた私も年を取りつつある現実でもあるのですけれど。

 健康増進法が出来て、受動喫煙の防止が積極的に謳われるようになりました。
最近では建物内はもちろん、都心部は路上でも歩きたばこは許されなくなりつつあります。
売っている私自身は喫煙者ではありませんが、自分達が何十年も取り扱ってきた商品が時代遅れになりつつあるのを感じます。
それは私自身にもそう言われているようで、何となく気落ちしてしまうのです。
気にしても仕方ない事だと分かってはいるのですが。

「もう私も年だから…」
そんな事が私の口癖になったのは主人が亡くなってからです。
その度に息子はそんな事はないと言ってくれるのですが…。
息子は本当に優しく私を気遣ってくれる子でした。
夫を亡くし、店を再開する意欲さえ無くしていた私を支えそばにいてくれました。
それは言葉の上でだけでなく、実際にそうでした。

「まだまだ若いよ、母さんは」
そう言った息子の声がどこか遠くで聞こえてくるようでした。
息子の腕の中にいるだけで自分がどこにいるのか、一瞬忘れてしまいそうになるほど現実離れした感覚だったのです。
息子は分かりませんが、私にとってそれは本当にとても温かな行為でした。
結婚前さえ主人にそんな風にされた事はなかったのですから。
息子の腕は温かく声は優しく、色々なものから取り残されつつある私なんかを心底思ってくれている。
それは自然と涙が溢れてくるほど心が揺さぶられる出来事でした。



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