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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』
【学園物 官能小説】

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特進クラスの期末考査 『淫らな実験をレポートせよ』act.1-1

act.1
 《3人の秘密》


空は快晴。アスファルトから立ち上ぼる湯気。穏やかな風さえも、むわっと暑い。透明な水が恋しい季節だ。
しかし、全くもって不透明な…いや、濁った15名がレポート用紙を片手に持ち、会議室に集まっていた。

ブラインドを下ろし、さながら深海の様に薄暗い。だが、誰も電気を点けようとしない。


「とにかく、何とかしようぜ…」
ダルい声をあげながら、矢田 智春(ヤダ トモハル)が周囲を見回した。
赤茶けた髪は今流行の美容室通いの賜物で、口うるさいがクラスのまとめ役でもある。自慢話が玉に傷だが、割と世話好きな男だ。
「んなこと言ったってよぉ…」
長机に突っ伏した日立 光久(ヒタチ ミツヒサ)が呻く。色黒のやんちゃ坊主は、自分に与えられた課題に頭を悩ませている。
いつも本能のままに動く彼は、久方振りの頭痛の種に、相当、困惑気味だ。
「つーかさぁ、みんなの課題をココに書いて、適当にカップルを作って課題クリア〜。みたいな?」
にこにこと笑って言い出したのは、相澤 ゆり(アイザワ ユリ)だ。
むっちりした体付きで、巨乳だがオバサンっぽいのが難点。日々ダイエットに励んでいるが、イマイチ効果は見受けられない。飽きっぽいけど努力家な女の子だ。
「え〜ッ。この中の男とエッチしなきゃいけないのっ!?」
長身の吉田 桜(ヨシダ サクラ)が声を荒げた。
170cmを越す背丈に、ちょこんと乗った小顔。空気抵抗を感じない胸はコンプレックスだが、バスケ部のエースだ。
「絶対、嫌!だらかねッ!!彼氏でもない男とするなんて」
自己主張をハッキリとさせる彼女だ。怒るのも無理は無い。しかし事態は、赤点かセックスかの瀬戸際なのだ。


数時間前、この緊急事態が発生したのは化学の時間である。
何も知らない特進クラスの理系の生徒、15名はいつも通りに化学室で授業を受ける為に集まった。
担当教師の大河内は、二週間後に控えた期末考査の試験課題と称し、レポート用紙と紙袋を配った。
課題を実験して、レポートを提出すれば合格だと言う。卒業を半年後に控えた彼らにとって、勉強しなくても単位が取れるのだ。誰も文句はなかった。

しかし…蓋を開ければ大河内の性欲を満たすだけのゲームだった。

誰かに漏らした時点で全員赤点。協力は理系同士で。課題は全員バラバラ…等と気付けば巧みな罠の範疇(はんちゅう)に立たされて居たのだ。
抗う事は不可能な事態。だから今、会議室を貸し切って対策を練ろうと集まっているのである。


「って言うか、俺バイトあるから帰る」
さっきから時計と睨めっこをしていた草野 雄一(クサノ ユウイチ)が席を立った。
ワックスで逆立てた髪の毛をいじりながら、紺色のボストンタイプの鞄を肩に掛ける。
「えっ、草野は大丈夫なの!?」
水城 飛鳥(ミズキ アスカ)が立上がり、草野の背中に声を掛ける。小麦色に焼けた男勝りな少女だ。
草野とは親しい仲で、飛鳥がマネージャーを勤める野球部の日立と3人で一緒にいる時間が多い。

「ん、なんとかなんじゃね?」
いつもの余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)な態度に飛鳥は不安になる。
「待ってよ!ちょ、草野!?」
飛鳥は草野を追いかける事に決めた様だ。部活はテスト前なので、休みだから心配は無い。
「みんな、ごめんね!コラァッ!草野オッ!!」
鞄を抱えて足早に追いかける。会議室の生徒達は、いつもの事か、と手を振った。


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