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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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もう一度家族として-1

「お母様、お父様、それから陸さん。…お世話になりました」

「またいつでもおいで」

「…なんか寂しいなぁ…娘が独り立ちするみたい」

「またね、百合香ちゃん」

「…えぇ、また」

彼女の家族に挨拶を終え、玄関で待つ海菜の元へ行く。

「…行きましょう、海菜」

「…ん。ちょっとだけ、寄り道していい?せっかくだし、最後に初詣行こうよ」

約束の時間は、特に決めていない。昼頃に帰ると言っただけで。
だったらもう少し時間を伸ばしても構わないだろうか。
差し出された手を取る。
離さないと言わんばかりに、強く握られた。

「…あ、父に連絡だけ入れさせて」

「どうぞ」

「…利き手握られてたらメッセージ打てないんだけど…」

「私が打とうか」

「自分で打つので離してください」

「はーい」

海菜は心の強い人だと思っていた。
寂しがったり泣いたりしているところが想像出来ないくらい。
けれど、今ならわかる。ただ隠すのが上手いだけだ。
人並みに寂しがったり、泣いたり、悲しんだり、不安になったりする。今だって。玄関先に座る彼女の横顔を見る。

「…寂しそうね」

「…寂しいよ。数ヶ月一緒に暮らしたから余計にね」

こっちを見ないまま、彼女は答えた。その言葉が嬉しく思う。同じ気持ちなんだって。それだけで、幸せになるのは、変だろうか。

「…嬉しそうだね」

「えぇ。貴女が私と同じ気持ちなのが嬉しい。変かしら?」

「変じゃないよ。可愛い」

「…貴女だって可愛いわよ。寂しがりやなところとか、甘えたがりなところとか」

付き合い始めてから、自分の中での彼女の印象はかなり変わったと思う。カッコいいだけじゃない。可愛らしい一面もたくさんあることを知って、更に好きになった。

「…可愛いって言われ慣れないから変な気分…」

「…可愛いって言うと照れるのね。覚えておくわ」

「覚えてどうすんのそんなこと…てか、お父さんに連絡出来た?手動いてないけど」

「ああ、ごめんなさい。話に夢中で打ててなかったわ」

「もー…」

他愛無い会話が楽しくて仕方ない。こんなに楽しいのはきっと、彼女だから。
メッセージを送り終えて数秒で、返事が来る。まるで連絡が来ることを知っていたかのような即答だった。"楽しんでおいで"の一言。それだけで嬉しくなる。

「…行きましょう」

「うん」

彼女の手を握り、家を出る。2人の時間は、もう少し。
だからこそ精一杯、楽しみたい。


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