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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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それぞれの想い-3

「お疲れ様、百合香」

放課後。帰ろうと外に出ると、校門前に海菜が居た。
少し部活で居残り練習していくから先に帰ってと連絡したのに。

「…わざわざ待っててくれたのね」

「君を1人にすると、無事に帰れるか心配で」

大袈裟に彼女は言う。

「…過保護ね」

私がそう返すと、やっぱりそう思う?と苦笑いした。

「…手、握っていい?」

「ん、どうぞ」

差し出された手に自分の手を重ねる。指と指を絡め合う。いわゆる、恋人繋ぎ。
握った手から、彼女の体温が伝わってくる。
幸せを感じると同時に、不安も襲ってきた。
貴女の隣を歩くのは、本当に、私でいいのだろうか。

「…ねぇ、海菜」

「ん、どうしたの?」

「…星野くんとは…いつから仲いいの?」

「あいつとは中学からだよ。一年の時に一緒のクラスで…初めて話したのは体験入部だったかな」

「…良い人よね。少し貴女に似てる」

お似合いだと思う。私なんかより、ずっと。
そんなこと、思いたくないのに思ってしまう。

「なぁに?百合香、もしかして妬いてる?」

少し嬉しそうな声だった。
妬いてるのだろうか。近いようで、違う気がする。

「…私…自分に…自信がないの。私は貴女の隣に居ていいのかなって。もっと…相応しい人が居るんじゃないかって…」

星野くんが私と同じ想いを海菜に抱いているなら、こんなこと思うのは失礼だとわかっている。私を好きだと言ってくれた海菜にも。
わかってはいるけど、思わずにはいられない。
海菜は嬉しそうな顔から真面目な顔になり、言葉を選ぶように、一呼吸置いてから続けた。

「…私は君と居たい。周りが何と言おうと、何を思おうとも。誰かが君のことを私に相応しくないと言ったって、私は君を手離す気はないよ。…ここまで言ってもまだ不安?」

「…海菜…」

「…大事なのは、君がどうしたいかじゃないかな。君は私の隣に居たい?いたくない?」

「私は…貴女の側に居たい…離れたくない…貴女を…誰にも渡したくない…」

絞り出すように、私が言葉を発すると、彼女は嬉しそうに笑ってから、私を腕の中に閉じ込めた。

「…大丈夫。私は誰のところにもいかないよ。だから、君も安心して私の側にいていいからね」

「…海菜…」

彼女を抱きしめ返す。温もりに包まれる。
海菜の体温が、私の心の不安を消していく。
私は、この人の側に居てもいいのだ。もう魔女は居ない。自分の心に、従えばいい。"魔女のお人形だった私"に言い聞かせるように、心で呟いた。


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