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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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それぞれの想い-1

「…海菜はいつも、星野くんと一緒に登校してるのよね」

「そうだよ。今日も駅で待ってると思う」

母に全てを打ち明けてから3日。何事も無かったかのように、時間は過ぎていく。あの日から、私の生活はガラリと変わったのに。こうして、海菜と登校することなんて一生無いと思っていた。
登校どころか、一時的ではあるが、一緒に暮らすことになってしまった。
彼女の友人の星野くんは、何を思うのだろう。何か、聞かれるだろうか。私の不安を察したのか、彼女が私の手を握った。

「…大丈夫だよ。望には話してあるから。私の君に対する想いも、君の事情も。…勝手にごめんね」

「…構わないわ。貴女が信頼してる人なら」

きっとそれは、必要だったから話したのだろう。私は彼女を信頼している。その彼女が信頼しているなら、私も彼のことを信じる。
駅が近づく。柱にもたれかかってボーっと空を見上げる制服姿の男子高校生がいた。星野くんだ。海菜が走っていく。

「おはよー」

「おはよう。…小桜さんも、おはよう」

少し、寂しそうな、悲しそうな、そんな声だった。

「…付き合い始めたんだろ?おめでとう」

「ありがとう。望」

「…お幸せにな」

優しい声。海菜が、私にかけるような。
ああ、そうか、星野くんも海菜のことが好きなんだ。
私が…取ってしまったんだ。
ごめんなさいと言いかけた言葉を飲み込む。
いや、違う。取ったわけじゃない。海菜も私を選んだ。私が彼に謝れば、彼女の想いまで、否定してしまう。

「…ああ、別に俺は誰かに2人のことを言いふらしたりしないから、安心して」

彼はそう言い切り、一呼吸置いてから、私の名前を呼んだ。
何を言われるのだろうと身構える。

「…うちの王子を、よろしくお願いします」

震えた声でいい、ぺこりと頭を下げた。

「…ありがとう星野くん」

彼が私と同じ気持ちなら、今この瞬間が、どれだけ辛いことだろう。
それでも彼は、私の気持ちを、彼女の気持ちも受け入れて認めてくれている。私が逆の立場だったら、どうしていたのだろうか。
その優しさと強さを、見習いたい。堂々と、海菜の横に立てるように。


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