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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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私は貴女のお人形じゃない-3

「お帰り、海菜」

「…ただいま。母さん、父さん」

「…お邪魔します」

「…訳は後で聞く。とりあえず、お風呂入っておいで。その間にご飯温め直すから」

「えっと…私は…」

一緒に入るのは気まずい。しかし、恋人同士だとは少し言いづらい。

「百合香、一緒にお風呂行くよー」

そんな私の気持ちを知った上でか、楽しそうに彼女は言う。

「い、一緒に…って…嫌よ…貴女…変なことするでしょう…」

「いやいやいや。変なことって。別に何もしないって」

「…そういう下心丸見えなところ、零穏に似てるよねー…」

ジト目で、彼女の母は彼女の父の方を見る。
父親と海菜が同時に、酷いなぁ…と溜息をついた。

「…一緒に入ってもらった方が効率はいいけど、別に一緒に入りたくないならそれでもいいよ。どっちかが先にご飯食べてもいいし」

「…私は百合香とお風呂入りたい」

「…私は嫌よ。先にご飯頂きます」

「百合香ぁ…」

「んじゃ、用意するね。ほら海菜、風呂行け、風呂」

「…はぁーい…」

肩を落とし、とぼとぼと、風呂場へ歩いていく海菜。
その様子を見て、彼女の両親は苦笑いしていた。

「…隠す気ねぇな、あいつ」

「…あの、海菜のお母様とお父様は…ご存知なんですか?海菜が…私のことを…」

「知ってる。見てればわかるよ」

「…相手が同性だということに関しては何も思わないんですか?」

「思わないよ。…海菜にも言ったけど"僕"も初恋が同性だったから。まあ…色々あってこいつと結婚したけど。同性しか好きになれない人もいれば、僕みたいに性別関係無く好きになる人もいる。異性愛が"普通"な世の中だけど…世界は広いから、"普通"から外れる人が居たっておかしくないよ。普通なんて、ただの多数派でしかない」

彼女の母の言葉が、胸に染みる。ああ、この人に育てられたから、あの子はあんなにも自由なんだ。

「…百合香ちゃんは、うちの娘のことどう思ってる?」

「!…えっ…と…好き…です。その…恋愛的な意味で…」

自分とちゃんと向き合えたからだろうか、それとも、この人達は私達のことを絶対に否定しないという安心感からだろうか、すんなりと、好きという言葉が出てきたことに自分でも驚く。

「あ、えっと…まだちゃんと…あの子には言葉にして伝えられていないですけど…一応…付き合って…ます…」

「…そっか。色々大変かもしれないけど、僕らは応援するから。安心してあの子と恋愛していいからね」

「は…い…」

次々とかけられる優しい言葉に、涙が溢れる。
箸が止まる。
料理の、味がしない。美味しいことはわかるのに。

「っ…ごめんなさい…私の…母は…絶対に認めてくれなかったから…っ…」

それどころか…殺されそうになった。
一瞬だけ蘇る恐ろしい魔女の顔に、息が止まりそうになる。
彼女の両親は何も聞かず、側にいてくれた。
彼女と同じように。


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