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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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私は貴女のお人形じゃない-2

玄関のドアが開く音で、現実に戻される。
そんな罰、受ける必要ないと、ここには居ないはずの海菜の声が、聞こえた気がした。
殺伐とした空気が外に流れていく。
2人で玄関を見る。
父が、いた。 海菜じゃない。

「百合香!」

「おと…うさん…」

息を切らした父がいた。"魔女"の怒りの矛先が、そちらに向く。

「何よ…何なのよ…今更何をしに来たのよぉぉぉ!!」

魔女が、包丁を持って、走っていく。

「警察です。止まりなさい!」

父の後ろから、手帳を持った男性2人が出てきた。
"魔女"が怯む。その隙をつき、男性達が"魔女"を床に倒し、拘束した。

「はな、離しなさい!私が何をしたの!」

「詳しいことは署で聞きますから。とりあえず、拘束させて貰います」

力が抜け、へたり込む私の元に、駆け寄ってきたのは、父ではなく海菜だった。

「…良かった…来て良かった…大丈夫?怪我はない?」

確かめるように、私の身体をあちこち触る。

「海菜…なんで…ここに…」

「…ごめん。心配になって君の後を追ってきたら…君のお母さんの叫び声が聞こえたから…警察呼んだ。…良かった、間に合って…」

「貴女はいつも…私のピンチに駆けつけるのね…まるで…王子様みたい…」

「…言っただろう?君が私を呼ぶなら何処でも駆けつけるよって」

冗談っぽく笑う彼女。本物の、海菜だ。私は刺されてないし、これは夢じゃない。

「うみ…な…私…私…ね…ちゃんと…言えた…あの人に…。貴女を…愛してるから…男の人と…結婚もしないし…子供も産まないかもしれないって…。…でも…でも…!受け入れて…貰えなかった…」

分かってた。受け入れてもらえないことなんて。
けど…
あのまま、彼女が来なかったら私は…。
彼女が震える私の身体を抱きしめる。

「…頑張ったね」

優しい声で言い、頭を撫でる。不思議だ。母に殺されそうになったというのに。彼女の温もりが、恐怖に立ち向かって疲弊した私の心を、一瞬にして癒していく。
ぽろぽろと、涙がこぼれた。
君が無事でよかったと、彼女は小さく呟く。その声は、微かに震えていた。

「…鈴木さん、百合香…警察の人が参考人として話が聞きたいって。任意だから…日を改めてもいいし、拒否することも出来るけど…今日は遅いし、後日でいいかな」

話せそう?と優しい声で父が問う。
魔女の姿は、見当たらない。警察に連れていかれたのだろう。
思い出すのも怖い。けど…

「…私も付いてる。大丈夫」

海菜の優しい声が、私に勇気をくれた。

「…大丈夫よ。話すわ…ちゃんと」

「…じゃあ、当日は父さんも行くから。今日は父さんの家においで」

父が手を差し出す。その手を取ろうとすると"もう1人の私"が父の手を跳ね返した。

「…貴方なんかより…海菜と一緒がいい…」

私を捨てた人のところには、行きたくない。
本心じゃないのに。口から勝手に、そんな言葉が出た。

「…ご、ごめんなさい。こんなこと…言うつもりじゃ…」

「…いや…いいんだ…ごめんな…百合香」

差し出された手が引っ込む。
父の傷付いたような顔を見ると、胸が痛む。
私は…父のことが大好きだったのに。この人は、私が好きだった優しい父と、同じ人なのに。なのに、出て行った日のことが…未だに許せない。許したいのに…許せない。父を責めるべきじゃないことは…わかっているのに。

「…鈴木さん、百合香をお願いね」

「あー、えっと…一応、許可取らないと…多分、大丈夫、だと…思いますが…」

海菜は途切れ途切れに、言葉を発する。何か動揺しているような感じだった。

「…海菜?」

「…いや…こんな形で君を家に泊めるとは思ってなかったから…。
…うわ、返信早っ…。良いってさ」

「…ごめんなさい。海菜」

「いいよ。…一応、明日の時間割だけしてカバンと制服持っていこう。朝から家まで取りに帰れないでしょ?」

「えぇ…」


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