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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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球技大会-4

カメラに映る娘は、全て浮かない顔をしていた。
せっかく、かっこいい姿を撮ってあげようと思ったのに。

「……」

娘と、隣に座る娘の友人に目を向ける。娘の友人の男子生徒は多分、娘に惚れている。なんとなくだが、そんな気がした。
2人が、あの頃の僕らとかさなる。"彼女"を好きになってしまったことに動揺していた自分と、それでも好きなんだと僕に告白してくれた零穏に。

「…まるであの頃の俺らだな」

同じことを思っていたのか、夫が、2人の方を見てぽつりと呟いた。少し悲しそうに。何かに悩んでいるような表情だった。

「…零穏は、海菜に"男の子"を好きになって欲しいって思う?」

思わないよ。と彼は即答する。けど…と何かを言いかけ、やめた。

「…」

「けど?何?」

「いや…」

「いいよ。言って」

続きを催促すると、躊躇うように、彼が口を開く。

「…もし海が…そうだったらって…考えちゃって…そしたら…今の俺たちも…陸も海菜もいない。そんな世界の俺は…幸せになれたのかな…」

彼らしくない悩みだった。2人を見て、昔を思い出してしまったせいだろうか。

「…零穏は、今幸せ?」

幸せだよ。と彼は即答した。

「じゃあそれでいいじゃない」

昔、彼に言われた言葉をそのまま返す。あの時は酔っていたから、会話の内容はよく覚えていないが、多分僕も、今の彼と似たようなことを言った気がする。
それを思い出したのか、あの時と逆だなと彼は可笑しそうに笑った。
どうやら悩みは解決したようだ。憑き物が取れたような、晴れやかな笑顔だった。

「零穏」

「ん?」

「僕も、幸せだよ。ありがとう。僕を好きでいてくれて」

こんなこと、娘達の前では小恥ずかしくて言えないだろう。
彼も照れ笑いしながらお礼を返す。
少しの沈黙の後、まるで新婚夫婦だなと可笑しそうに吹き出す彼に、釣られて僕も笑った。


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