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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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呪(まじな)い-2

数日後の放課後。私は約束通り、海菜と菊池さんと一緒にダンス部の部室に行く事になった。"魔女"には、友達と体験入部に行くとだけ話してある。
きっと帰れば詳しく聞かれる。
部室の前で、足が止まった。

「…小桜さん、大丈夫?具合悪い?」

「平気…よ…」

「…運動するから、無理しない方がいいよ」

「大丈夫。大丈夫よ」

心配する菊池さんに、笑顔を向ける。

「…百合香、今なら帰れるけど」

海菜の言葉に、首を強く横に振る。やめて。そんなこと言わないで。
せっかく、勇気を出して来たのに。

「…そっか。じゃあ、行こう」

「でも鈴木さん…」

「大丈夫だよ菊池さん。本人がこう言ってるんだ」

行こう。と差し出された"王子様"の手を取る。
私の手を引き、元気な挨拶とともに、堂々と部室に入っていく。菊池さんも後に続く。
先輩達の視線が、こちらに集中した。
あっ!と可愛らしい声が聞こえた。一人の生徒が、海菜に駆け寄る。
部活紹介で喋ってた人だ。

「海ちゃんだ!」

嬉しそうに海菜の空いている手を握り、ぶんぶんと振る。

「み、みぃちゃん、腕取れる。取れるから」

「あ、ごめんね。体験に来てくれたんだよね。えっと、そっちの二人もかな」

「うん、というか、私は付き添い」

「うん。知ってる。海ちゃんは演劇部入るもんね。ああ、でも、ダンスに興味が出たらこっち来てもいいからね?掛け持ちでもいいから」

「…そこまでして私を口説き落としたい?」

「うん。凄く」

「嬉しいなぁ、君みたいな美しい人から口説かれるなんて」

「えー?ほんとにそう思ってる?」

二人の会話は、まるでカップルのようだった。ちょっとそこ、1年生を口説かない!と部長らしき生徒の声が響いた。残念。と笑い、海菜の手を離す。どっちか口説かれてたのか分からない。

「…何今の恥ずかしい会話…聞いてるこっちが照れる…」

鈴木さん、今の先輩とどういう関係?と菊池さんが顔を赤くしながら問う。従姉妹だよ。と笑い返し、こう続けた。

「それに私、本命の女の子いるし」

それは…冗談なのか、本気なのか。よく分からない。けれど、なんだかその言葉を聞いた瞬間、胸のあたりがもやもやした。

「…鈴木さんが言うと冗談か冗談じゃないかわかんないよ…」

ご想像にお任せします。と彼女は笑う。特に否定も肯定もしなかった。ちらっと、菊池さんが私の方に視線を送る。そして、海菜に戻す。にこっと、海菜は何も言わずに菊池さんに微笑んだ。何かを察した菊池さんは、それ以上は何も言わなかった。
海菜を見る。目があった。何?と優しげに微笑み、首をかしげる。
どうしてそんな優しい目で私を見るのか。その瞳に吸い込まれそうになる。視線が外せない。胸が、張り裂けそうになる。

「体験希望の一年生!こっち集まって!」

部長らしき女子生徒の声で現実に戻された。胸のもやもやは晴れないまま、体験入部が始まった。


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