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呪いを解いて
【ガールズ 恋愛小説】

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お姫様-3

入学して数日が経った日。初めての昼休み。百合香を誘い、弁当を広げる。彼女の弁当は、とても小さなものだった。多分、私の弁当の半分以下。

「…百合香、少食なの?」

「…えぇ。貴女のお弁当は随分と大きいのね」

「…そう?これでも足りないくらいだけど」

少量のご飯、彩が綺麗な少量のおかず、そしてフルーツ。
私なら絶対足りないなぁと思いつつ、自分の弁当箱を開ける。弁当箱にご飯は入っていない。二段ともおかずで、主食はおにぎり。
弁当箱の中身に、彼女の視線が向けられる。

「…美味しそうね」

「ん…。どれか気になるおかずある?あげようか」

「え?いえ、別に…」

「遠慮しなくていいよ。ほら、どれ食べる?唐揚げ?ミートボール?」

唐揚げ…と言いかけ、止める。プチトマトもらってもいい?と言い直した。

「唐揚げね。はい。どうぞ」

「いや、プチトマト…」

「唐揚げって言いかけたでしょ?食べたかったんじゃないの?」

「…揚げ物はあんまり好きじゃないの」

そうは見えなかったが。しかし、本人がそう言うならそうなのだろう。私の勘違いだったのかもしれない。
好きではないと言われたものを無理に勧めるわけにもいかない。
プチトマトに爪楊枝を刺し、彼女に差し出す。弁当は自分で作っている。唐揚げも自分で揚げた。せっかくだから手料理を食べて欲しかったのだが。

「…はい、あーん」

「…じ、自分で食べるわよ…」

私の差し出したトマトを爪楊枝から引き抜き、口に運ぶ。

「…美味しい?」

「…えぇ」

「野菜以外の料理は、私の手作りなんだ。ちょっと食べてみてよ。はい、卵焼き」

卵焼きを刺した爪楊枝を右手で持ち、空いた左手を受け皿にしながら、彼女に差し出す。

「…どうしてもあーんがしたいわけね」

「あ、バレた?」

仕方ないなぁとため息をつき、机から少し身を乗り出し、爪楊枝に刺さった卵焼きを食べる。

「!…美味しい。何これ。ふわっふわ…」

目を丸くし、口元に手を当てる。目が輝いていた。

「料理上手なのね。貴女」

こんな手料理食べられ人が羨ましいと彼女は笑う。心の底から、幸せそうな笑顔だった。隠れていた本当の彼女が見えた気がした。

「…海菜?どうかした?」

「…ああ、いや。可愛いなと思って」

何よ急にと彼女は俯き、顔を赤くする。恥ずかしそうに、両手で顔を隠した。可愛いなんて言われ慣れていると思ったが、意外な反応だ。謙遜するか、素直にお礼を言うかどちらかだと思っていた。

「…百合香、可愛い」

「二回も言わなくていいわよ…」

「可愛いよ。百合香」

「ねぇ、やだ…やめてって…」

「照れてるの?可愛いね」

「も、もういいってば!お弁当…食べないと時間なくなるわよ…」

「可愛いって言われ慣れてない?」

貴女に言われるのとは違うの。と、篭った声が聞こえてくる。

「…違う?どうして?」

「分からないわよ。そんなの…」

もしかしたら、彼女も私と同じなのでは無いだろうかという期待が高まる。私は、少しでも可能性があるなら全力で落としに行くつもりでいるが…今はまだ、様子見だ。

「…海菜…?」

彼女が怯えるような目で私をみていることに気づく。何か悟られてしまっただろうか。それとも…彼女を苦しめている"何か"のせい?
何でもないよと彼女から目をそらす。

「…そう。ねぇ、食べないの?」

彼女の声で現実に戻る。時計を確認する。あと五分だった。

「うわ、やばっこんな時間…!?あー…まあいいか…次の時間で…」

だから言ったのに…と彼女は呆れたようにため息をついた。


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