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『茜色の空に』
【女性向け 官能小説】

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『茜色の空に、side:秦一』-1

今日は大学の同窓会だ。同窓会、と言っても、僕の同期が中心ではなく、2コ上の先輩達の。
でも先輩達は、何かにつけて、後輩である僕達や、まだ上の先輩達にも声を掛けてくれるのだ。

それは僕にとって、とても有り難い事だった。
何故なら、

「おー。久し振りぃ。遅かったねー。」
にこやかに微笑んで振り返るこの人、村上明香、に会えるから。

「お久し振りです。すみません、遅れて。」
「ここ空いてるからここ座り。」
明香さんと仲良しの竹下みのり先輩が僕を二人の前の席に勧めてくれる。ラッキー。

座るなりみのりさんがコップを僕に差し出し、ピッチャーに入ったビールを注ぐ。
「あ、すみません。」
「いいのいいの。じゃ、改めて、かんぱーい。」

そんなに遅れてはないつもりだったが、そこかしこで盛り上がっており、僕の周りの数人だけで乾杯する。

ビールを一口ぐっと飲み、目の前に座る明香さんをチラリと見遣る。

前に明香さんに会ったのは僕達の卒業式の日、半年程前だ。
僕達の卒業の祝い、と、色んな先輩が集まってくれた。ま、昔っから先輩達は自分達が飲めれば理由は何だって良いみたいだけど。

たった半年、そんな気もするが、明香さんは増々綺麗になっている。
学生の時にはしていなかったパーマ、化粧、どれも明香さんに似合っていて
とても美しい。
つい見とれてしまう。

「明香センパイは綺麗になったね。」
思わず口に出る。

明香さんは驚いた顔でこちらを見る。大きな瞳がクリクリしてそれも可愛い。
アルコールのせいなのか、僕の言葉のせいなのか、頬が赤い。

それからは何故か明香さんにどんどん飲まされてしまう。
明香さんは可愛い顔に似合わず酒豪だ。同じペースで飲むといつも痛い目に遭う。


2〜3時間程飲んだろうか。みのりさんの声で一同が解散する。

明香さんも電車の様だ。
「明香さん、ホテルどこ?」
「え?○○ってトコ。しんちゃんはどことったの?」
「僕?僕は××だよ。近いし、送るよ。」

学生時代、大勢で飲んだり、みのりさんと3人で遊びに行ったりした時にはたまに明香さんの下宿先迄送ってあげていた。
たまに、ってゆうのは、明香さんには当時恋人がいて、大抵その人が迎えに来るから。

携帯を耳に当て、嬉しそうに話をしているあの頃の明香さんの姿を思い出して胸がトクン、と痛む。

いつの間にか電車を降りていて、他の数人の先輩とも別れていた様だ。
明香さんがふわふわの髪を揺らしてこっちを振り向いている。


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