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[有害図書]
【鬼畜 官能小説】

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[有害図書・後編]-1

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『……捲って……スカートの……』

『………白い……ウッヒヒヒ……』

野太くて断片的な声が愛の鼓膜を叩く……瞬間的な閃光が瞼を貫いて網膜を刺激していたからか、愛にはまるで夢の世界にいるかのように感じられていた……。


(……お…男の…声……眩し……)


仰向けか横向きか分からないほどの目眩は、まだ目を開けていない状態でも感じられている。
意識は未だに朦朧としたままで、だが、それを『取り戻せ』とばかりに閃光が瞬く。


(……男…ッ!?)


突如として記憶がフラッシュバックした……揺れる1BOXと、セダンから下りてきた男達……そしていきなりの襲撃……愛は重たい瞼を力一杯に押し上げて辺りを見回す……そこは想像だにしなかった異世界の空間だった……。


「なッ!?何して…ッ…嫌あぁああッ!!」


あの男達の顔が四方に浮いている。
裸電球が放つオレンジ色の灯りが逆光したそれは人間の面相には見えず、ギラつく汗粒や蕩けた眼は鬼か獣のように妖しい。

そんな奴等の真ん中に、愛は寝転んでいた。
しかも自分からスカートを捲り上げたように左手を添えられ、右手はといえばパンティの前みごろの中に突っ込まされていたのだ。

驚くのはそれだけではない。
男達はそれぞれにゴツいカメラを持ち、愛の狼狽える様を撮りだしたのだ。
さっきの閃光がカメラのフラッシュだったのは疑いようもなく、あらぬ格好をさせて撮影していたであろう事も間違いはないだろう。



『よく眠ってたねえ。使用書には効果は一時間て書いてたけど、君は三時間は眠ってたよ?』

『やっぱり子供だから効き過ぎたんだね?身体も小さいから仕方ないかあ〜』


愛は跳ね起き、スカートを直して身構えた。
そして此処が何処なのかを探ろうとした。

煤けた壁紙にボロボロに裂けたカーテン。
汚らしいマットレスや山積みの段ボール箱のせいで室内の広さは判らない。
男達の人数はセダンから下りたのと同じ四人。
灯りは裸電球が一つだけで、天井に張り巡らされた蜘蛛の巣がキラリと光っている。

蒸した空気からして空調の類いは無さそうだし、しかし、電気が届いているところを考えると、何処かの建物の物置き部屋なのかもしれない……。


「……うわあッ!?」


愛はカーテンに向かって走り出した。
ドアの位置は全く掴めず、ならばカーテンの向こうにあるであろうガラス窓を割れば、外に逃げられると考えたからだ。


『…っと、ドコにいくつもりかな?』

「は、離してえッ!!ひゃあッ!?やあぁぁッ!!」

『もうホームシックかい?顔に似合わず甘えっ子なんだねえ』


まだ平衡感覚が狂ったままの愛は、思ったように走れなかった。
いや、それ以前に大人四人の囲み≠、か弱い少女が突破出来るはずがなかった。
左の手首を握ってくる男の握力はとても強くて骨が潰れるんじゃないかと思うほどだったし、その手を離させようとバシバシと叩いても、全く怯みもしなかった。


『そんなに暴れないでよ。埃ってデジカメの天敵なんだからさあ?』

「らッ…乱暴しといて…ッ!?痛いぃッ!!」


掴まれた腕を引っ張られ、男の胸の中に引き込まれる……その強力な抱擁から逃げようと足掻いているのに、愛の両腕は後ろに回されてしまう……気がついた時には羽交い締めにされてしまっており、さっき寝転んでいたのと同じ場所に連れ戻されてしまった……。


(……怖い…ッ!こ、怖いぃ!)


見知らぬ男達に拐われ、汚らしい部屋に閉じ込められている。
さっきの撮影からして悪戯目的なのは間違いないだろうし、それだけで済むとも思えなかった。

両親に高額な身代金を要求するかもしれない。
残忍な手口で殺し、死体を山や海に棄てるかもしれない……。

ニュースで普通に聞いていた凶悪な事件に巻き込まれたという現実が恐ろしく、自分がその当事者である事実は悪夢の中の悪夢だ……。


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