油断-4
2人、少し距離を置き並んで座る。吹き出る汗をタオルで拭う広く徳はいちいち絵になる。そして想像通り、まるで香水が汗なのではないかと思う程、上品ないい匂いがそよ風に運ばれて来る。これでモテない訳がないな、マギーはそう思った。
「で、有名な女刑事さんが俺に何の御用ですか？」
屈託のないとも、来た理由に感づいているとも取れるような笑顔でマギーを見つめて来た。
マギーは初めからストレートに話をしよう、そう決めていた。
「先日城南市市長の佐川明子と元城南市市長の梶原博之の秘書、小渕愛子が全裸で張り付けられたと言う事件はご存知ですか？」
「ええ。あれだけ騒ぎになりましたからね。YourTubeでもアップされてましたし。あなたもいらっしゃいましたよね？やっぱ美人だなーって思って見てましたよ。」
「…そうですか。それで調べを進めるうちに被害者の2人は実は友人同士で小渕愛子は佐川明子を市長にする為に梶山博之の元に潜り込み情報を流していたら、佐川が当選するよう手を回していたりと選挙法違反の容疑で取り調べをしているところです。その中で2人はビッツコインを使い私服を肥やそうと言う目的の為に活動していた事が分かりました。しかし我々はその2人を操っていた大元がいると睨んでます。さらにYourTubeで知り合ったと言う、2人にビッツコインの手解きをしたと思われる人物を探しております。ビッツコインを調べる中でビッツコインにより利益を上げている人間が全国で一番多いのがこの千城だと分かりました。銀行も積極的にビッツコインに取り組んでおりますし、街の商業施設の多くがビッツコイン利用可能と言う現実も知りました。クレジットカードでさえ普及に長い時間を費やしてようやく定着した事を考えると千城でのビッツコインの定着度の速さは異常です。そして佐川明子が被害に遭った時にREVOLUTORなる者から犯行声明が届きました。内容からするに、REVOLUTORなる者の指示を無視し私利私欲に走った2人への制裁を行なったと言う事が推測されます。このREVOLUTORなる者が今、何かを企んでおり近い将来大きな事件を起こすのではないかと考え、私達はこの捜査に力を入れているところなんです。」
「なるほど。うーん、やっぱり美人ですね。みんな騒ぐだけの事はあります。俺は三島刑事より断然マギー刑事の方が好みですね。」
「…」
話を聞いてるのかと怒ろうかと思ったが、華英より好みだと言われ少し嬉しくなってしまったマギーは怒りを飲み込んでしまった。