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約束のピンキーリング
【女性向け 官能小説】

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-6


秘書課のデーターは馬鹿に出来ない。
得意先の主たる役職以上の個人的な好みまで全て把握されている。

それは、一人の秘書の功績ではなく
何年も何十人もの秘書の先輩たちが、何十年と言う歳月をかけて
地道に記録を残してくれたおかげだ。

私たちはこのフィールドで戦ってんのよ。

そう心の中で啖呵を切って目を閉じる。

やりにくい・・・

ここまで秘書を邪険にされる事は初めてだ。

目を閉じて、一呼吸置いて自分を落ち着かせようとしたら
不意に手をとられてビックリした。

「綺麗な爪だな」

岡本くんは、私の整えて、淡いピンクに塗られた爪を見ていた。

「綺麗な爪に、綺麗な顔」
「・・・・」
「巻いた髪に、高そうなスーツ」
「・・・・」
「俺の仕事は綺麗じゃないぞ」
「・・・・」
「秘書課に帰ってくれ。役員の秘書でもして、綺麗な仕事でもしてればいい」
「・・・・」

「こんな電車移動じゃない、車で移動できる役員と楽な仕事でもしてろよ」
「お言葉ですが」
「何?」
「役員の秘書が楽な訳ではありません」
「ふぅ〜・・・ん」
「役員の仕事が楽なわけでもありません」
「へぇ〜」

「とにかく、私の今の仕事は岡本主任付きの秘書です。
文句があるなら人事部へ言ってください」

「・・・・」
「話しが早い方でよかったです」

全然早くないけどねっ!





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