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大切なアナタ
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大切なアナタ-1

自転車を漕ぎながら考える
ボクはこのままで良いの?

人を騙し、汚い金で生き長らえる
正に人間の底辺
自分でも反吐が出るような最低人間



でも


「一緒に帰りましょう。姫咲さん!」

「はい」


そのおかげでアナタに会えたから


「今日はゾンビの可愛さをタップリ二時間語りますよ〜」
「それは、勘弁して下さい」



それはそれで良かった



まだ出会って二ヶ月しか経ってない
アナタを愛してるとか
アナタが好きだとか
そんな感情は分からない

だけど
これだけは言える
アナタが大切だ


出会いは嘘から始まったけど、この気持ちは嘘じゃない
詐欺師の僕が、唯一言える偽りのない想い



「三咲さん」

「何?」


僕は――


「あの……」

「?」


アナタを――


「やっぱりなんでもないです」

「えぇ〜!何ソレ〜」





騙したくない

嗚呼神様
やはり僕は、臆病だった


言えなかった言葉を胸に秘めながら、僕は彼女の話に耳を傾けた


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