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リンの未来
【調教 官能小説】

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1.売られた少女-2


 この国では売春は合法だ。
 この国の観光資源といえば美しい海、しかし美しい海だけでは観光客は集まらない、ホテル街、商店街、飲食店街、そして歓楽街が必要なのだ。
 いくつかのビーチにはそれらが揃い、リゾートとして栄えている、そしてどのリゾートにも歓楽街があり、歓楽街には女が必要なのだ。
 そして、貧富の格差が大きいこの国では女が安価に手に入れられる、そういった認識が広まると首都には大きな歓楽街が形成され、やがてこの国は『売春大国』、『買春天国』とも噂されるようになった。

 多くの先進国では売春は非合法、しかしそれが隠れて存在していない国はない。
 国がそれを禁じてしまうのは簡単だ、議会でそう決めてしまえば良い、しかしそれで売春、買春が止む事はない、地下に潜むようになるだけだ。
 それよりも公認してしまい管理の下に置いた方が良い、いかに批判され糾弾されようとも小さな国の弱い政府は体面よりも実を取った、地下に潜まれてしまうよりも公認した上で税を徴収する方が得策なのだ。
 しかも公認したほうが娼婦たちの衛生・健康管理も容易だ、観光収入の大きな部分を歓楽街に頼っている以上、性病などが蔓延してしまう事は大打撃に繋がる、地下に潜まれてしまえばそこまで目が届かなくなってしまうのだ。
 
 とは言え、さすがに人身売買は禁止されているが、実際には横行している。
 娘を買いに来た業者は支度金と貸付金を親に渡して娘を連れて行く。
『支度金』は親と娘が同意して娼館に所属している事を証明するため、そして『買った』のではないことを証明するのが貸付金、それは娘に対して貸し付けられるのだが、当然のようにその金は親に渡る、無論、親が返済すれば娘は自由になれるのだが、貸付金が返済される事は万に一つもない、もし返済が可能になったとしても、一度は売った親と売られた娘の関係が元通りになるはずもない。
 18歳未満の売春も表向きは禁じられている、しかし買春を咎める法律はない。
 売る側が摘発を逃れるには僅かな賄賂で済む、そして買う側は18歳未満だと知っていたとしても一切罪に問われないのだ。
 稀にガサが入る事はある、放置しているわけではないと言うアリバイのようなものだ。
 それでも警察が連れて行くのは娘だけ、客はぽつんとホテルに残される、先払いした金は戻らないが、不利益となるのはそれだけだ。

 娼館に売られて来る娘たちの多くは10代、それも前半が多い、中には一桁の幼女もいる。
 しかも買い手優位の市場だから一定上のレベルの容姿の娘が揃う。
 そんな幼い娘たちを買える国はそうそうない、そういった性的嗜好を持つ男たちにとって、この国は唯一といって良いほどの天国、他の途上国でも買えないことはないが、衛生上、法律上共に安全の面では比類がない、しかも容姿も粒ぞろいなのだ。

▽    ▽    ▽    ▽    ▽    ▽    ▽

 リンは母と弟たちのために身を犠牲にする事を承知したが、頭では理解できても心の中では納得できてはいない。
 膝を抱えて座りながら母と業者が交渉するのを聞いていた。
 相場はこれくらいだが、あんたの娘は特に可愛らしいし、まだ11歳なら特別な需要があるからここまでは出そう、もう少しなんとかなりませんか、と言ったやり取りを聞いているとやりきれない気持ちになる。
 母が弟たちを守ろうと必死に食い下がっているのはわかるし、昨年売られて行ったマヤよりはだいぶ高い金額が提示されている、しかもその金額はリンには想像も付かないような大金ではある、しかし、自分が物のように売り買いされるということに変わりはないのだ。
 
 やがて交渉はまとまり、リンは母に抱きしめられた。
 母は大粒の涙をぽろぽろとこぼしながらしきりに詫びていたが、もうそれはリンの心には届かなかった。
 事情は言い含められている、そうする他はないことも理解している。
 しかし、母は間違いなく自分を売ったのだ、それも自分の目の前で……。





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