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『BLUE 青の季節』
【青春 恋愛小説】

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『BLUE 青の季節』-11

「同じじゃない。俺は毎日来てる」

と信は自慢げに言った。

「へえ・・・」

遥は正直になって、

「頑張ってるじゃないですか。どうしたんです、急に」

理由を問いただされて信は困った。君のため、なんて答えたら重いだろうか。

「いや、最近妙にやる気がでちゃってさ。春だからかな。・・・・・遥こそこんな時間までどうしたんだよ?」

「もうすぐ大会があるから、仕上げの調整をしてたの。私、次の大会に懸けてるんだ」

「そうか。でもあんま無理すんなよ。おまえ最近よく風邪ひいてっから」

「うん、ありがとう」

そういって遥はまた水のなかに戻っていった。
・・・思えば、この時が最期のチャンスだったのかもしれない。少しずつ変わっていく遥の様子に、信が気付くには、何もかも遅すぎた。

ごめんな、遥・・・・・。

――目の前の恋が眩しすぎて、よく見えなかったんだ・・・・・・

ごめんな、



四月の中頃。桜も散っていく頃。春の日差しが何もかも暖かく包み込んで、穏やかに目覚める頃。

・・・遥は倒れた。


「出番だぞ、信」

タケルは手を振ってこっちに歩いてきた。
暑い日だった。焼き付くようなまどろっこしい太陽がギラギラと容赦なくスタンドを照らしていた。時折、涼風が辺りを吹き抜けてもすぐに遠ざかっていく。
そんな無意味な風がほてった頬に伝って少しだけ心地よさを感じた。

スタンドのずっと上のほうに信は座っていた。

「12時からだろ?まだ30分もあるじゃないか」

「バカ。体ほぐしとけ、って言ってんだよ。レース中に筋肉つるぞ、お前」

「わかったわかった」

適当な返事をして重い腰を上げるとタケルの後から控え室に入っていった。

「アラ、お帰り」

扉を開けると長椅子にもたれてくつろいでいる美津子がいた。
他にも座りたがってる一年生がいたがお構いなしとばかりにゆうに2、3人分のスペースはとっている。

「なんだ、遥と一緒だと思ってた」

美津子がにやにやしながら下卑た笑いを向けてきた。


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