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渡れない岸辺
【兄妹相姦 官能小説】

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1-6

「わあ、海だ」
 麻衣の顔がパッと輝く。
 雄介もそうだったが、長野に生まれた者にとって海はちょっとした憧れだ、小さい頃は海水浴にも連れて行ってもらったが、長野からの海水浴場の定番と言えば新潟である、海辺の町と言えば漁師町、それに海水浴客相手の民宿や食事どころがあるだけだ、海辺に高層ビルが迫っているなどという光景はいかにも都会を思わせる、麻衣はそんな雰囲気に酔っているようだ。
 お台場のテレビ局を一回りしてきた頃には日が翳り始め、二人は海を見渡せる公園のベンチに並んで腰掛けた。
 周りにもカップルがあちこちにいて中にはかなり熱い雰囲気のカップルもいる、雄介が始めて由紀とキスを交わしたのもここだった、海には女性の心を蕩けさせる何かがあるようだ。
 麻衣も廻りの雰囲気に感化されたのか、海の持つ力に迷わされたのか、雄介にしなだれかかってきた。
(ちょっとこれはまずいな……)
 そう思いつつも、身を任せて来る若い女性の魅力には中々抗えない、せっかくロマンチックな気分に浸ってる妹の気分を削ぐのもかわいそうだ、軽く肩を抱いてやると麻衣は頭を雄介の肩に持たせかけて来る。
「……ロマンチックね……お兄ちゃんとこんな風に過せるなんて夢みたい」
「夢みたいは大げさだろ?」
「ううん、本当にそう思う……だってお兄ちゃんはずっとあたしの憧れの人だったんだもん」
「憧れって……兄妹じゃないか」
「だから……いくら憧れても好きになっちゃいけない人だった……でもダメ、好きになっちゃった……」
「何を言ってるんだか……」
「あたし……変?」
「変だよ、だって……」
「兄妹だから……でしょ?……」
「そうだよ」
「だけどあたし……お兄ちゃんは頭もいいし、スポーツ万能だし、カッコいいでしょ?」
「それは褒め過ぎ」
「ううん、友達はみんなそう言ってるもん、麻衣のお兄さんは完璧よねって」
「そんなことはないさ」
「ううん、完璧よ……でもあたしはあんまり冴えない田舎娘だし、お兄ちゃんには素敵な恋人もいるだろうからって、諦めてたの……でも昨日可愛いって言ってくれて、こんな素敵な二日間をくれて……」
「いや、麻衣が喜んでくれたなら案内した甲斐があったよ」
「もう一つだけ、我侭言ってもいい?」
「何だ?何かねだろうってっての?」
「……抱いて……くれたら一生の思い出になるんだけど……」
「え? 何を言ってるんだよ」
「……ごめんなさい……ダメよね……」
「そりゃそうさ……」
 麻衣は小さく頷くと雄介の肩に顔を押し当てた。
 肩が小さく震え、ポロシャツ越しに暖かい涙を感じた。
「泣いて……いるのか?……」
「……ごめんね……今、お兄ちゃんに抱いてもらえたらどんなに幸せだろうと思って……でもやっぱりそれは叶わない事……いけないこと……そう自分に言い聞かそうとしてたら……」
「…………」
 雄介は掛ける言葉が見つからない……妹の涙の願い……雄介自身にしても麻衣を抱きたくないわけではない、昨日からずっとそうしたいという気持ちを理性で押さえつけてきたのだが、麻衣の涙はその理性を揺るがせる。
 常識的には許されないことだとは思うし、麻衣の一時の気の迷いではないかとも思うのだが……一方でそんな常識に囚われる必要はないのではないかとも思う、自分の世代では花嫁が処女でなければならないなどとは思わない、また、昔は避妊法が未発達だったから兄妹間に子供が出来るのは遺伝学上確かに問題だが今は信頼できる避妊具も容易に手に入る……流石に姉や妹と、という話は聞かないが、従姉に筆下しをしてもらったなどと言う友人もいる、そいつは里帰りの度にお相手願っていたようだが、従姉が結婚することになったと嘆いていた……。
 常識、慣習……一方で現実的には問題はないということ、そして麻衣の懇願、自分の欲望……「抱いてやるべきだ」と言う方に気持ちは傾くが踏ん切りはつかない。
(こんな事を相談できるのは……)
 雄介の頭に一人の女性が浮かんだ。
「少し頭を冷やそう、俺、何か飲み物を買ってくるよ、ここで待っていな」
 雄介が麻衣の頭を肩から外し、ベンチを立つと麻衣は深く俯いたまま、小さく頭を縦に振った。


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