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女王と俺の奇妙な日々
【ファンタジー 官能小説】

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真意(一)-3

女王に一目置かれた奴隷ということで、俺の申し出を断る度胸のある部署は実際ないのだった。自分自身は何者でもない癖に、何をしても許されるような身分だった。
ここに来てから、毎日が全て人に運ばれている気がする。そして、それでまたうまくいっている。前を歩いて案内するヴァールッチャの若い背中を見ながら、そんな思いが浮かんできた。
自分で何かをすると言っても、あとの全ては体任せではないか。心臓も胃も俺が動かして生きている訳ではない。意志さえ、実は一つの必然的な方向を向いていると考える哲学の説もある。
この時、「己が頭を指して誓ふな。汝頭髪一筋だに白くしまた黒くし能はねばなり。」という文句が脳裏をよぎった。確か、聖書の言葉だ。この前後は忘れたが、誓うな、「はい」は「はい」、「いいえ」は「いいえ」とだけ言え、と書いてあった気がする。そして、白い女の口にした言葉も、聖書にあったように思われた。しかし、こちらのほうはまるで思い出せなかった。本がないから、原文に当たってみようにも仕方がない。それとも、この国に聖書があるのか。
「Sinjoro, jen estas ilia ekzercejo. 」
(ミスター、武装派の教練場です。)
ヴァールッチャの声で俺は我に帰った。どう歩いてきたのか分からなかった。門番が扉を開けると、屋外へ続く広い敷地が塀に囲まれている。いくつも小グループができており、剣を打ち合わせる音が頻りに聞こえてくる。
「Mi deziras vidi superestrarojn. 」
(上級幹部にお会いしたい。)
俺が門番に尋ねると
「Kiun, konkrete? La nomon? 」
(どのですか、名前は?)
三十過ぎと見えるが容姿の整った門番は無愛想に言った。男の俺に緊張しているようにも見えた。
「Mi ne memoras la nomojn. Tamen, du estraroj, kies hararo ambaŭ estas blonda kaj la haŭto tre blanka. Unu el ili estas ankoraŭ infano. 」
(名前は覚えていませんが、金髪ですごく色白の幹部二人です。一人はまだ子供でした。)
「A, mi komprenas. Iru rekte ĝis la ĉambro ali franka. 」
(ああ、分かりました。反対側の部屋まで直接いらっしゃい。)
「Dankon. 」
(ありがとう。)


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