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女王と俺の奇妙な日々
【ファンタジー 官能小説】

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石切り場の男(一)-3

昼になる前に漸く石切り場の跡地が見えてきた。振り返って見下ろしても、城も町も、森林に覆われてほとんど見えなかった。地平線まで密林だった。だが、この山の広がりは巨大な山脈のようで、山裾が森林を遥かな先に遮っていた。男の国はこの山を越えたところにあるらしい。山越えには何日もかかるとルルッタラが言った。
「Nu? 」
(ん?)
女たちが三人とも同じ方向を見た。
「Io brilis. Estas iu tie. 」
(何か光った。誰かいるぞ。)
一人残らず顔つきが精悍になり緊張している。俺の前で見せる顔とは違う、戦士の表情だった。
「Ĉu estas la viro? 」
(あの男か?)
俺が尋ねると
「Ne. Ne parolu! 」
(違う。しゃべるな!)
しかし、先にある大きな岩の陰から相手は姿を見せた。二十歳くらいの女と、トパルミラくらいの子供だった。二人とも長い金髪で、肌が驚くほど白かった。体格がルルッタラたちと異なり、すらりと細長い。腰に刀か剣を三本ばかり帯びていた。いつかルルッタラがしていたような脛当てと小手当てを着けている。
「Tiuj estas de la armilsekto...」
(武装派の人間)
ルルッタラたちの徒手格闘派と違う武装派があることを俺は初めて聞いた。
「Ĉu vi konas ilin? 」
(あいつらを知ってるのか。)
俺の質問に小さくピツリフラが
「Ne. Sed iliaj atmosferoj estas de la pli altaj gradoj ol ni. 」
(いいえ。でもあの雰囲気。あたし達より階級が上ね。)
ここからでもよく分かる大きな青緑色の瞳が、こちらを射抜かんばかりの威圧感に満ちていた。子供のほうも同様だった。姉妹なのだろう。
動けないでいるらしい女たちを差し置いて、俺は話しかけた。
「Pardonon, kiuj vi estas kaj kion vi faras? Mi estas viro kiu estas ĉe la reĝino. Mi venis por vidi la viron kiu onidire vivas ĉirkaŭ la loko kaj paroli kun li. 」
(すみません、あなたがたはどなたで、何をしてるんですか。俺は女王付きの男です。この辺りに男が住んでいると聞いて、話をしに来たんです。)
ところが、二人の女はそのまま姿を隠してしまった。
「Ni iru tien! 」
(追いかけよう!)
俺は言ったが、ルルッタラが
「Neniu el ni povos venki ilin, eĉ ni tri kune. 」
(私たち三人掛かりでも勝てないぞ。)
「Kial vi pensas nur pri batalo? 」
(何で戦う話ばかりするんだ?)
俺が返すと
「Ni ne scias kial ili ĉi tie estas. 」
(奴らがここにいる訳が分からない。)
「Ĝuste pro tio ni iru kaj mi nepre parolu kun la vivanta viro. 」
(だからこそ行くんじゃないか。俺はどうしても生きてる男に会って話をしないと。)
俺が進み始めると、女たちは付いてきた。ルルッタラなどは、自分が疑問を投げかけていたくせに、真っ先に歩き始めた。やはり俺に指示してほしがっているようだ。
岩の側には誰もいなかった。斜面までの間に平らな地面が広がり、その急な斜面に大きな穴が開いていた。
「Ĉi tie estas la ruino kie oni ekspluatis ŝtonojn per kiuj estis konstruita la kastelo. 」
(ここは、城を建てる時に用いた石を切り出した跡地だ。)
ルルッタラが用心深く辺りを見回しながらそう言った。ピツリフラが話を引き取り
「Tio signifas safiro kaj smeraldo. 」
(石っていうのはサファイヤとエメラルドね。)
俺は興味深いと思ったのだが、ここでは宝石も大理石なみの扱いらしく、ピツリフラは忽ち話題を変えた。
「Ĉi tie laboris viroj sen viran organon kiuj travivis tra la kastrado. 」
(ここで、去勢されても生き延びた、男性器官なしの男が働いてたのよ。)
「En la truego estas iu homo! 」
(誰か穴の中にいる!)
トパルミラが、話を切るような鋭い小声で言った。
果たして、例の白い女たちが穴から現れた。
「Kiuj vi estas? Vi povas ekrekoni ke ni estas el la reĝino, ĉu ne? 」
(皆さんはどなたなんですか。俺たちが女王の所から来たことが分かるでしょう?)
俺がまず声をかけた。
「Kion vi volas de nia patro? 」
(父に何か用?)
小さい女の言葉に、えっと、こちらが皆で驚いた時、穴の奥からもう一人の人間が姿を見せた。例の男だった。


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