1-4
仲間外れにされた事を悟った時、ねねはその都度自分の存在が吹けば飛ぶような小さいものだと感じてしまい、いたたまれない気持ちになる。
オナニーはその気持ちを忘れる為だけの行為ではなく、『自分だって絶頂を知っているんだ、何時までも子供じゃないんだ』と自らに言い聞かせ、少しでも自我が萎んでいくのを防ごうとする行為でもある。
それゆえにその行為は徐々にエスカレートして行く、最初はワレメをこするだけだったのがクリトリスを弄るようになり、包皮を剥いて直に弄るようになり、ワレメを広げて膣壁をこするようになり、指を一本、二本と挿入してピストンするようになって行った。
義男はさして経験豊富と言うわけではない。 正直言って彼女がいたと言う時期はなく、経験した相手はプロばかり、しかも経済的余裕はさほど無いのでちょくちょくと言うわけにも行かず、経験回数は数回にすぎない。
しかし、知識だけは豊富、エロ漫画を描く事もあって研究心は旺盛なのだ。
その義男の知識からしてもねねはセックス好きになる資質をたっぷり備えているように思える。
クリトリスが感じやすいのは女性全般に言えることだが、ねねは特に感じやすいようで、そこに指が触れた瞬間が表情からはっきり読み取れる。
さらに、成人女性でも膣で感じるようになるにはある程度の経験が必要、しかしねねは自分の指のピストンで快感を高まらせ、最後には達しているように見える。
しかも同じパターンのオナニーに満足せずにより深い快感を追い求める積極性も備わっている。
まだ十歳の小さな体だが、性の悦びの受容体として、実践の機会を待つばかりに準備が整っている……そう思うと遊んでいるねねを見るだけで勃起し、オナニーを見せ付けられれば、その小さなワレメにペニスを埋め込みたい衝動に駆られてしまう。
そして、チャンスは直に訪れた。
その日も仲間外れを食ったらしいねねは、指二本のオナニーを見せてくれたが、どうもそれだけでは満足できなかったらしい、しばらく辺りを見回していたが、公園の周りに人影が無いのを確認すると、下ろしたショーツを足から抜き、スカートのポケットにねじ込んで公園に戻って行く。
（何をするつもりなんだ？……）
義男はファインダーから眼を離し、ねねの姿を目で追った。
ねねはもう一度辺りを見回すと、一番低い鉄棒に跨ってスカートを広げ、膝を軽く曲げて腰を前後に揺らし始める。
（こすり付けているのか……）
義男は再びカメラを構え、ズームアップする……ねねの表情は真剣そのものだが、顔は徐々に上気し始める。
（すげえな、感じてるよ……このまま逝っちゃうのかな？）
そう考えたが、ねねの行動はその先を行った。
更に膝を曲げて足を宙に浮かしてぐっと広げる……ねねは天を仰いで荒い息をついている、しかも体は小刻みにぶるぶると震えている。
（食い込んじゃったな……痛いんだ、でもそれが良くて止められないんだ……驚いたな）
義男はねねの全身を、食い込んでいるはずのワレメを隠しているスカートを、震えながらも地面につこうとはしない足を、そして上気し、虚ろになっていく表情をカメラに収めていく。
ドサッ。
不意にねねがファインダーから外れた。
カメラを下ろすとねねは鉄棒の脇に倒れている、とっさにスカートは直したが、手は股間にあてがわれている……よほど食い込んでいたとみえて痛むらしい……。
義男の中で（チャンスじゃないか、何してるんだ、すぐに行けよ！）と唆す声が響き、彼はためらわずそれに従った。
「どうしたの？ 大丈夫？」
上半身は起こしたものの、まだ立ち上がれないでいるねねに声をかけた。
「あ、大丈夫です、落っこちちゃって……でも怪我してないから」
「でも、なんだか辛そうだよ、目の前のあれ、俺のアパートなんだ、少し休んで行けば？」
ねねの目がアパートの窓を舐めるように動く……見られていたのではないか？ と心配になったらしい、しかし、窓は全て閉まっていてカーテンも……義男の部屋のハーフミラーだけは中を覗えないが……見られてないと思ったのだろう、ねねは立ち上がり、「大丈夫」と立ち去ろうとする……。
（逃がすのかよ、こんなチャンスはもう無いかもしれないぜ）
再び義男の中の声が義男を唆す……。
「パンツ、穿いていったら？……」
義男の言葉に、ねねはギクッとして立ち止まり、おそるおそる、と言う風に振り向いた。
「見てたよ、パンツ脱いで鉄棒に跨って……食い込んじゃって痛かったみたいだね、でも君は逝っちゃったよね」
「……どこから？……」
ねねが搾り出すように言う。
「来てみればわかるよ……」
ねねの手を取ると反射的に振りほどいたが、義男が無理にもう一度手首を掴まないことを悟ると、素直に従った。