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女王と俺の奇妙な日々
【ファンタジー 官能小説】

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愛の深さ-4

城内を知り尽くしている俺のほうが、伝令などより早く部屋に着いた。俺の部屋は変わっていなかった。
俺のベッドから、緑の髪の女王が身を起こした。放心した子供のような顔で俺を見つめた。
「Reĝino, jen estas mi, Juuĝi! 」
(女王、由自です!)
声を聞いた女王の瞳に光が宿ったように見えた。ふわりと女王は宙に舞い、目の前に降り立った。その途端に女王の右手が鋭く俺の頬を撃った。
「Via imperiestrina Moŝto! Li ne estas kulpa! 」
(女王陛下、ミスターは悪くありません!)
トパルミラが叫んだが、たちまちネリヤが現れ、連れていかれてしまった。
実は、女王の平手打ちは音ばかりで、俺には全く痛くなかった。緊張のせいだろう。
女王の、猛禽類に似た光るような黄色の瞳はまっすぐ俺を見つめていたが、その目から涙がこぼれて止まらなかった。
「Juuĝi, bonvole frapu min. Se ne, mi perdos la forton de reĝino. Nun mia koro estas plena de diversaj animoj tre fortaj kiel ŝtormo. 」
(由自、私を打ってくれ。でないと、女王の力を失いそうだ。思いが乱れて嵐のようだ。)
「Mi ne povas. 」
(できません。)
また女王の平手打ちが飛んだ。今度は痛かった。
それでも俺が立ったままでいると、今度は拳で殴られた。眩暈のするほど強い力だった。
「Se mi fariĝas unu normala virino, venos la plej granda danĝero en tiun landon. 」
(私がただの女に戻ったら、国に最大の危機が訪れることになる。)
俺の、何もする気のない様子を気取ったのか、女王は俺の腫れた陰嚢を掴み上げた。
「Mi rompu unu! 」
(一つ潰すぞ。)
そう女王は凄んだが、哀願しているような表情だった。ただ、掴んでいる手には本気が感じられた。
「Helpu al mi, Juuĝi! Mi volas nek fariĝi senforta, nek, kiel la lasta reĝino, senkompate malvarma. Vi rektigu min! 」
(頼む。力を貸してくれ、由自。私は力を無くしたくないし、先帝のように冷酷にもなりたくない。私を正せ!)
どうせ投げ返されることを想定しつつ、俺は小さな美しい頬を殴りつけた。殴るという行為のイメージにばかり捉われていた俺は、無思慮に拳骨で打ってしまった。
女王は、かわすことも技を返すこともなかった。女の肌の柔らかな感触が骨に伝わってきた。生まれて初めて俺は女を殴った。
女王は何事もなかった様子で
「Tre bone. Ankoraŭ unu. Sed se vi batos min sen plena forto, mi grimpu kaj rompu. 」
(いいぞ、もう一つだ。ただ、もし少しでも力を抜いたりしたら、摑み潰す。)
言われるままに今度は反対の頬を殴りつけた。手加減すれば許されないだろうと思い、真剣に俺は力一杯打ってみた。パンチ力を測るゲームにするような打ち方になった。普通の女ならどうなっていただろうと、打ってから焦った。
しかし女王は倒れなかった。ゆっくり顔を俺のほうに戻すと、握っていた手を離し
「Dankon. Viroj estas vere fortaj. Nur mi nun konas la efektivon. Hihi. 」
(ありがとう。男の力は本当に強いんだな。それを知っているのも私だけか。ふふ。)
満足そうに俺の手を引いてベッドに歩いた。先に横たわって
「Jen via laboro. Purigu la mian. Bone? Ĝi estis longe atendanta vin. 」
(ほら、仕事だ。きれいにしてくれよ。そこはずっとお前を待っていたんだから。)
腿を開いて見せたが、女王はそのまま気を失った。膝の上まで漏らしたように濡れていた。
一連のことで気が高ぶっていた俺は、女王の全身から立ち昇る強い女のにおいを嗅いでたまらなくなり、発情した動物よろしく、動かない美女にかぶりついた。女王は完全に体を任せていた。
鬱のことなどもはや脳裏に浮かびさえしなかった。


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