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私立花乃森女学院 〜 目覚めの時
【同性愛♀ 官能小説】

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ドアの無い部屋-2

 「り、凛花先輩、こ、こ、これって…」
 「そうよ。」
 「ですよね、女の人の…あの…」
 「ええ、おま…」
 「ダメ!言っちゃだめです。」
 「どうしてよ?例えばテレビではオチンチンとかチンコとかって平気で言うじゃない。だったらおマンマンとか、四文字とか言ってもいいんじゃない?男女差別よ。」
 「言われてみれば…。」
 「ねえ、そんなことより、写真の下の方に入ってる文字、分かる?」
 「文字…ひらがなですね。えっと…」
 彩音は近眼だ。普段はコンタクトをしているが、少し度が合っていない。
 「かしわ…ざき…さぎり…って、柏崎先輩!なワケないですよね。」
 「早霧先輩よ。間違いなく。」
 「だ、だとしたら、何でこんなところで写し出されてるんですか!盗撮?」
 早霧のおま…やめておこう。その部分が表示されている鏡の隣の鏡に、別の女が映し出された。
 「…。」
 「あら、誰なのか分かったようね。」
 「分かるに決まってるじゃないですか。いつまでも見ていたい、触れていたい、凛花先輩のこの部分なんですから。」
 「嬉しいこと言ってくれるじゃない。私もね、彩音。あなたに見られたい、触られたい、舐められたい…そして、他にもされたいことがあるわ。」
 彩音の顔に花のような笑顔が広がった。
 「まあ、あなた以外にも見られるわけだけど。」
 「な…どうしてですか!私だけの凛花先輩でいてくれないんですか?」
 彩音の頬はひきつっている。
 「それはね、こういうことよ。」
 バタバタバタ、っと他の鏡にも映像が表示されていった。そこに映っているのは、全て女のその部分だ。
 「…なんなんですか、これは。」
 「歴代の部長。」
 彩音は一瞬、凜花が何を言ったのか分からなかった。
 「と、トイレで盗撮でもしたんですか、代々。だとしたらこの人数、ハンパないですよ?」
 パネルの数は、床と天井にそれぞれ三十五枚、左右の壁に二十一枚づつ、前後には十五枚づつだ。合計百四十二枚。 「この女学院の創設からの年数よりは少ないとは言え、前代未聞の大犯罪ですよ?」
 「盗撮じゃないわ。全員、もっとも秘めるべき部分を自分の意志で晒したの。」
 「そんなわけ…」
 そこまで言って彩音はあることに思い至った。
 「まさか、さっきの?」
 ゆっくり頷く凜花。
 一枚だけ空白になっていたパネルに、新たに一人の女のその部分が映し出された。
 あまのはら あやね
 名前を読むまでもない。それは彩音だ。
 「キーストーンに座った時、一瞬赤く光ったでしょ?あの時、光学カメラと3Dセンサーであなたのデータを取ったの。」
 パネルの中の映像が動き始めた。いろんな角度から彩音のその部分が映し出されていく。
 「何のために、こんな…」
 彩音以外の映像も、グリグリと角度を変え始めた。しかも、一つのパネルに一人が固定ではない。表示される女すらどんどん入れ替わっていく。そのため、いったい何人の女がその部分を晒しているのか分からない。
 「何のため、か。それを問うなら、あなたは何故存在するのかを知らなければならなくなる。でも、それはおそらく不可能。」
 彩音はもう理解することを半分諦めたような顔をしている。
 「でも、一つだけ分かっている事があるの。」
 「なんですか。」
 「今日のあなたの様に、一人が新たに登録されると、この女学院が…いいえ、この世界が一年だけその存在を継続させることが出来るといういうことよ。」
 「は?」
 「その仕組みは分からない。いつから始まったことなのかも。だけど、それは延々と受け継がれてきた。だからあなたも来年の春、後継者を見付けなければならない。もしもそれが出来なかったなら…。この世界は一年後に存在しなくなる。」
 「それと同じ説明を、私も来年誰かにここでするという事ですか?ワケも分からないのに。」
 「そういうことになるわね。」
 ふぅ、っと息をついてから、彩音が呟くように言った。
 「そんなの、本当かどうか分からないじゃないですか。後継者を見付けず、ここに誰も連れてこなかったからって、この世界は何も変わらないんじゃないですか?」
 凜花は目を伏せてそれに答えた。
 「見たでしょ?季節のおかしい草原を。」
 「ええ、秋なのに初夏の植物や虫しかいない。」
 ゆっくり頷いて凜花は話を続けた。
 「…一度だけ、後継者を見つけようとしない人が居たの。そして初夏になり、あの草原は季節を忘れた。慌てて後継者を見付けたけれど、そのときにはもう歪みを矯正することは出来なくなっていた。だから、あの草原は永遠に初夏のままなの。」
 「そんなバカなことが…」
 「なんなら試してみる?後継者を見付けないで毎日を送り続けるの。狂うのは季節だけじゃないわ。地形も距離も時代も文化も。物理法則や時間すら歪みかねない。」
 「ちょっと待ってください、それじゃあまるで、私はこの世界を正常に保つために生まれてきたみたいじゃないですか。」
 「そうよ。」
 「え?」
 凜花は、すー、はぁー、っと大きく深呼吸した。
 「彩音、あなた、この学院に入学するまでの記憶、あるわよね?」
 「もちろんですよ。それが何か?」
 「それって、本当にあなたが過ごしてきた時間の記憶だという証拠はあるの?」
 「証拠?そんなの、私が今ここにいる、それが証拠じゃないですか。」
 「違うわ。あなたはあの瞬間に生まれたの。正門へと続く桜並木の角を曲がって私と目が合った瞬間に。」


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