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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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㉕窃盗犯の取り調べ-2

香織の裁判は早々に結審し次回の公判で判決が出た。
「明らかに殺意を持って撲殺したのは間違いなく本人が後悔している点や事情をかんがみてもその罪は重い、
「懲役10年を命ずる」そしてさっそく栃木刑務所へ送られた。


この窃盗犯が何かやらかしたのは間違いない。林警部の疑いはいまや確信に変わっていた。
彼が恐怖するほどの犯罪とは何だろう。強盗、傷害、強姦、放火、殺人、誘拐・・・・あの日に起こった事件を調べ直した。
強姦が1件、殺人が1件あったがそのいずれも犯人は逮捕されている。
強姦は場所も時間もかけ離れていたが殺人はあの久永書店店主殺害事件だ。
取り調べの時に何気なしにカマをかけてみた。「お前、美容室の後、本屋に忍び込んだだろう。」
「いえ行ってません。」だんまりを決め込んでいた男が思わず口を開いてしまったのだ。本当にわかりやすい男だ。
男は必死に抵抗するが熟練した林警部の強烈な取り調べについに落ちた。男が抵抗し始めて5日目のことであった。
要約するとこうだ。
美容室から出て少し歩くと裏門が少し開き明かりが漏れているのを見つけた。
少し開いたドアから中の様子をうかがっていた時、ドア横の暗がりから誰かが立ち上がり「助けてくれ」と呻きながら抱き着いて
来たのだ。びっくりして突き飛ばして大急ぎで逃げた。相手は仰向けに倒れ動かなくなった。
追いかけてこないので生垣の外から振り向いた。ドアの薄明りの中に仰向けに転倒し動かない人が見えた。
救急車だと思ったが自分の悪事がばれるのが怖くてそれは出来なかった。
「その時ほかに気の付いたことはなかったか?周りに人はいなかったか?」
「誰もいなかったと思います。ただ彼が転倒したときカラカラという音がして明かりの中に金属バットが転がり出てきたのを
覚えています。多分転倒した場所に落ちていたものだと思います。」
「それでなぜ朝まで帰らなかったのだ。」「はい。自宅のそばまで来た時に刑事が隠れているような気がして明るくなるまで
待ったんです。」
大変なことになった。香織は冤罪かも知れない。しかし黙っていれば警察のミスが公にされる事はない。
もうすでに結審し香織も弁護人も上告することのない事件なのだ。困り果てた林警部はこの事件の担当だった多摩川に
相談した。多摩川も思い悩んだが「俺は刑事としての正義を捨てたくない。」の一言で捜査一課長に報告することにした。
一課長も少し考えたが多摩川の強い希望により再審請求をすることにした。


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