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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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㉒窃盗事件-2

翌日朝、金庫泥棒が刑事に連行され署内の取調室に入った。もう実刑は免れないだろう。
取り調べには林警部が当たった。犯行の動機は収入もなく妻に食わして貰っていた上、窃盗罪の罰金まで払わされた
妻のボヤキが原因だった。「待ってろ。直ぐに払ってやる。」と言って家を出たものの当てもなく街をさまよっているうちに
気が付けば商店の事務所に押し入っていたというのが真相のようだ。
裏を取るために彼の奥さんに会った。「本当にいつもご迷惑をおかけしています。状況はあの人の言う通りです。
気が弱くて小心者のあの人は犯罪を犯せるような人じゃないんです。空き巣の時も朝方帰ってきて震えながら泣いていたん
です。それ以後ふさぎ込む事が多くなってすごく悩んでいる様でした。それが毎日のように続くんです。
元気を出してやろうと思って先日問いただしたんです。そして空き巣の事知りました。楽になる方法は罰を受ける事だと
説得して出頭させたのです。」
今回は起訴されるだろうが金庫も中身もそのまま返却しているし被害者も示談に応じると言ってくれているので多分執行猶予

がつくだろう。本当に奥さんが言うように犯罪者にほど遠い人間で貧しいがゆえの犯行だが許すわけにはいかない。
きっちりと調書を作成し検察へ送った。
椅子から立ち上がり大きく伸びをした時、部屋の入り口に多摩川の姿を見つけ招き入れた。
「実は刑事部長から君の調書は読みづらいと言われた。それに比べて三課の林君の調書は見事だよとも言われた。
恥を忍んで聞くんだけれど何か極意があるんなら教えてよ。」
「誉めて呉れて嬉しいよ。あえて言うなら君も知ってはいるだろうが中学で習った5W1Hに無理やり当てはめているんだ。」
「そうかそんなこと習った記憶があるな。もう一度勉強するよ。参考に君の調書を見せて貰えないだろうか?」

「過去のものは保管庫の中だからさっき書いたばかりのこれなら内緒でコピーしてやるよ。必ず僕に返してね。」
夜ベッドに転がってこの調書を見た。なるほど刑事部長が言うように分かりやすい。
犯行の日時・被害を受けた商店・犯人の素性・家屋に浸入して・手提げ金庫を盗んだ・
あれ1Hは?そうか裏木戸のカギを壊して・だ。なるほどこれなら俺にも出来そうだ。
もう一度最初から読んでいる内に眠ってしまった。
早朝、携帯の音で起こされた。人間の片腕が発見されたようだ。このての事件は長引くし多忙を極めるのが常だ。
事実それ以後の多摩川はこの事件に振り回される事になる。


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